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2024年6月25
一般社団法人 日本経済団体連合会

【政治】

〔内閣支持率が低迷する現状について問われ、〕岸田内閣は、デフレからの完全脱却、ひいては成長と分配の好循環の実現に向け、数多くの施策を熱心かつ着実に打たれている。現に、2023年度の名目GDPは599兆円と過去最高を更新し、賃金についても30年ぶりの高水準であった昨年を更に大きく上回る引上げを実現するなど、成果をあげている。政治資金をめぐる問題が現在の支持率につながっているが、内政に加え外交も堅実に進められており、評価できる。

他方、支持率は国民の声でもあり、これを謙虚に受け止め、政治改革にもスピード感をもって取り組んでほしい。

〔改正政治資金規正法(6月19日成立)の受け止めを問われ、〕政治資金をめぐる問題については、透明性と実効性の確保が重要である。今次改正により、一定程度の透明性が確保されたのではないか。引き続き、政策活動費の上限額の設定や第三者機関の設置といった検討課題にスピード感をもって取り組むとともに、一連の問題が起こった背景を忘れることなく、定められたルールの遵守を徹底してほしい。

企業・団体献金のあり方にも関連するが、政治とコストの関係や、民主政治の維持にかかるコスト負担のあり方については、与野党でもう少し掘り下げた議論があってもよかった。

【為替】

〔円安傾向からの転換に向けて必要なことを問われ、〕現在の円安は日米の実質金利の差が一因であるが、中長期的には両国の実質金利の差は縮まっていくとみられ、今が円安のピークではないか。

その上で、円安傾向の是正に向けて必要なことは、やはりわが国経済のファンダメンタルズの強化である。潜在成長率を高めるべく、中長期的な施策を打つ必要があり、官民連携で、社会課題の解決に資する国内投資の促進などに取り組まねばならない。もうひとつは、財政健全性の確保である。「骨太の方針2024」において、2025年度に国と地方の基礎的財政収支の黒字化を目指すとの方針が示されたとおり、わが国の信用力という観点で、財政基盤を固める必要がある。

〔円安傾向を是正するための今後の政府・日銀の政策への期待を問われ、〕一般論として、金融政策は、物価を念頭に検討されるべきである。日米の実質金利の差が為替に影響を及ぼしていることは事実であり、これも意識しながら、日銀には2%程度の適度な物価上昇を実現するための適切な政策運営を期待する。

また、為替介入は、政府の強い姿勢を示すという意味で一定の効果はあろう。

【最低賃金】

〔今年度の地域別最低賃金額に関する審議会での議論に向けた考えを問われ、〕具体的な目安額は今後の議論を経て示されるものであり、公労使でよく議論を重ねてほしい。

最低賃金は法律で決められており、遵守しなければならない。(引上げの影響を直接受けやすい)中小零細企業が賃金引上げを行うことのできる環境整備が重要であり、政府には生産性の改善・向上等に資する支援を加速してほしい。

加えて、労務費を含めた適正な価格転嫁のさらなる促進も必要である。経団連は、「企業行動憲章」を5月に改定し、パートナーシップ構築宣言に基づき、取引の適正化をソーシャルノルム(社会的規範)にすべく会員企業に呼びかけている。引き続き、憲章の周知徹底とその実践の働きかけに取り組んでいく。

そうした中で、最低賃金については、「骨太の方針2024」で「2030年代半ばまでに全国加重平均を1,500円」との目標をより早く達成できるよう取り組むと明記されており、そういう方向で進んでいくのではないか。

〔各地域の最低賃金決定において地域間競争が起きている現状や、そもそもの地域別最低賃金の決定方法についての考えを問われ、〕地方では人手不足が深刻化しており、人材を獲得し流出を防ぐために、従来以上に近隣地域の動向を意識して地域別最低賃金を決定した面もあるのではないか。

また、地域別最低賃金の決定については、公労使で構成する審議会で、物価動向や月例賃金の引上げ状況、企業の賃金支払能力などを総合的に勘案した丁寧な議論が必要であると思う。

【選択的夫婦別姓】

〔選択的夫婦別姓制度の実現に向けた政府への期待を問われ、〕専業主婦世帯が3割を切り、共働き世帯が7割を超えるようになり、社会の変容にあわせて制度を改め、女性の社会進出を一層加速させる必要がある。

重要なのはまず議論されることである。自民党内でも様々な意見があることは承知しているが、日本の「家」を大切にされている国会議員の方々も、旧姓の通称使用拡大を進めるために様々な工夫をされた提案をされている。女性活躍を願う思いは同じであろう。「万機公論に決すべし」であり、オープンかつスピーディーに議論してほしい。

【電気・ガス補助金】

〔政府が表明(6月21日)した電気・ガス補助金の再開の必要性や、補助金が常態化することへの懸念を問われ、〕政府は補助金を常態化させようとは考えていないだろう。補助金の再開は、デフレからの完全脱却が近づくこの機を決して逃さないという政府の強い思いの表れではないか。

他方、政府は、地元の理解を前提とした安全が確認された原発の再稼働や、グリーントランスフォーメーション(GX)の新たな国家戦略の策定も表明している。短期的な取り組みに加え、そうした中長期の施策をセットで推し進めることが肝要である。

以上

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