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2024年6月10
一般社団法人 日本経済団体連合会

【選択的夫婦別姓】

DEI(多様性、公平性、包摂性)は企業のイノベーションの源泉であり、企業で働く一人ひとりの生き方やキャリアの選択肢を増やす観点から、夫婦同姓しか選択できない現在の制度を改め、希望すれば不自由なく、生まれ持った姓を選択できる制度を求める提言を取りまとめた。

経団連が実施した調査では、9割の企業が役職員に通称使用を認めている。他方、税や社会保障を扱う人事や経理の現場では、戸籍名との名寄せ作業等を強いられている。また、88%の人が旧姓の通称使用が可能でも、例えば、パスポートやクレジットカードの名義と異なるため、空港やホテルでトラブルとなるといった何らかの不便を生じているとの声があった。

女性活躍が進み、女性役職員も着実に増加する中、姓の問題は、当事者個人の問題として片づけることのできない、企業にとってビジネス上のリスクとなっている。

夫、妻それぞれが希望すれば、生まれ持った姓を戸籍上の姓として名乗ることのできる制度の早期実現を求める。選択肢のある社会の実現に向けて、法案を一刻も早く国会に提出し、ダイバーシティー政策の一丁目一番地として、国会で建設的な議論が行われることを期待する。

〔提言実現時期の期待を問われ、〕1996年に法制審議会が答申を出した当時とは状況と異なり、今や共稼ぎ世帯が7割以上である。それくらい家族のあり方も変わっており、速やかに議論を行い、課題を洗い出して、スピーディーに対応いただきたい。今後、女性の活躍を願うのであれば、この問題は放置されるべきではない。

〔議論の出発点・アプローチについて問われ、〕1996年の法制審議会の答申の後、自民党でも、2021年に論点整理の議論をしている。日本の「家」を大事にされている与党議員も、女性活躍の観点から、旧姓の通称使用拡大を進めるためにさまざまな工夫をされている。課題を解決したいとの思いは同じだと思う。万機公論に決すべく、議論を閉じず、オープンかつスピーディーに行ってほしい。

【政治資金規正法改正案】

〔衆議院を通過した政治資金規正法の改正案の評価及びこれまでの議論の受け止めを問われ、〕政治資金をめぐる問題については、透明性と実効性の確保が重要。改正案により、一定の透明性向上が図られると評価する。どの世界であっても、ルールを守ることは大事である。今後、実効性の確保にしっかりと取り組んでいただきたい。

【賃金引上げ】

〔実質賃金でマイナスが続く一方、収益が好調な大企業を中心に、賃金引上げの余力があるのではないかと問われ、〕大幅賃金引上げの効果はこれから出てくると予想されており、実質賃金のマイナス幅は改善方向にあるのではないか。また、付加価値に占める人件費の割合である労働分配率は、省人化投資やデジタル投資の増加などの影響によって世界的に低下傾向にある。ただ、「人への投資」は中長期的に非常に重要であり、社会経済の活性化にも寄与する。各企業においても、「経営労働政策特別委員会報告」の講演などで全国を巡る中で、「人への投資」が重要との認識が広がっていることを実感している。企業の業績は変動が激しいため、中長期のトレンドで注視していくとともに、今後の動向に期待している。

【定額減税】

〔6月から開始した定額減税の消費拡大への効果と制度面での課題を問われ、〕消費拡大への効果について数字は持ち合わせていないものの、消費が活性化することを期待している。制度面の対応が大変だとする声があることは承知しているが、定額減税の実施は以前から決定していたことであり、ポジティブな面を前向きに評価したい。

【自動車認証不正】

認証制度自体は、守らなければならないルールであり、守られなかったことは甚だ遺憾である。今後、実態の解明を踏まえ、制度が実態と乖離しているようであれば、制度のあり方を検討すべきであろう。

〔日本経済への影響を問われ、〕早期に事態を是正しなければ、いずれマイナスの影響が出てくるだろう。

【欧州議会選挙】

〔欧州議会選挙の結果が日本経済に与える影響を問われ、〕現在検討を進めているFuture Design 2040(仮称)では、公正公平を重要な概念として挙げているが、公正公平を意識せずに経済や市場を運営し格差が拡大してきたことが影響しているのではないか。これは欧州だけではなく、アメリカや日本でも同様であり、世界全体で公正公平を再考すべきだ。

加えて、経済安全保障の観点から「スモールヤード・ハイフェンス」という考え方がある。経済社会の発展に寄与してきた自由で公正な貿易投資が弱まらないよう取り組む必要がある。

以上

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