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2022年9月20
一般社団法人 日本経済団体連合会

【物価・為替】

〔2022年8月の全国消費者物価指数(生鮮食品除く)が前年同月比2.8%上昇したことについて問われ、〕コストプッシュインフレの側面が非常に強い。日銀はかねてより2%の「物価安定の目標」を掲げ、これを安定的に持続させることを目標としている。従って、現下の物価上昇がその流れにあるかどうかを注視しているが、持続的なものに至っていない局面では、金融政策見直しの議論は慎重に行うべきであろう。一方、現在の物価上昇を一つの契機として、物価と賃上げの好循環が実現することを期待したい。

為替は、経済のファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが重要であり、急激な変動は望ましくない。目下進行中の急速な円安ドル高は、日米の金利差拡大を背景にした投機的動きに起因する部分が大きいのではないか。為替変動の影響は様々であり、これを活かすことも考えられる。円安を梃子にインバウンドを呼び込むとともに、クールジャパンを積極的に発信・展開すべきである。中長期的な視点で、エネルギーや食料の自給率を上げていき、為替変動に左右されにくいレジリエントな日本経済を構築する必要がある。

【水際措置の緩和】

〔日本への入国者数枠を撤廃すると報じられていることについて問われ、〕報道の通りに決定されれば英断であり、歓迎である。既に観光地でも、これまでの緩和措置の効果で、海外からの人流が増えた。コロナ禍以前は、訪日外国人観光客の約7割が個人旅行であったことから、個人旅行が解禁され、ビザ免除措置が復活すれば、インバウンドをさらに呼び込むうえでの弾みとなる。観光は成長分野であり、日本経済が息切れしないうちに迅速に水際措置緩和を進めてもらいたい。

【デジタルマネーでの給与払い】

労働者が安心して利用できる制度を設計することが大事である。とりわけ重要なのは、資金移動業者の破綻時の補償(資金保全)である。現在検討中の制度案では、口座残高の上限額を100万円以下に設定する資金移動業者に限定するとともに、仮に事業者が破綻しても、保証機関等の介在で給与全額をすみやかに労働者に保証する仕組みが提示されている。制度改正に関する民間調査によると、給与のデジタル払いを利用したいとする人は3割弱、デジタルマネーのアカウントに入れたい給与額は総額の1~3割程度が最も多いという結果がある。この調査結果を見る限り、当面、銀行振り込みとデジタル払いが併存するとも考えられる。

【日中国交正常化50周年】

現在、日中関係は政治的に厳しい状況にあり、両国の周辺には地政学的なリスクも存在する。そのような時であるからこそ、小異は残しつつも大同を求めて交流を続けるべきである。日中国交正常化から50年間、問題が生じても両国の先人達は知恵を出し合い、交流を途絶えさせなかった。世界は中国なしでは立ち行かず、中国もまた、世界なしではやっていけない。日中国交正常化50周年レセプション(9月29日)では、両国の対話の重要性や、次の50年に向けた双方の努力を確認したい。

以上

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