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2019年9月9日
一般社団法人 日本経済団体連合会

【経団連の優先政策課題】

5月下旬に入院して以来約3カ月半を経て、本日から職務に復帰する運びとなった。治療は現在も継続中であり、いきなりフル稼働するのは難しいが、体力の回復に努め、誠心誠意、職責を果たしてまいりたい。

米中摩擦の激化や日韓関係の悪化、Brexitをめぐる動向など、世界情勢は極めて不安定で、見通しが容易ではない。こうした中、日本が力強い経済成長を続け、明るい未来社会の創造をリードする必要があり、経団連は、①Society 5.0の実現、②経済構造改革、③電力システム改革、④民間外交の推進に重点的に取り組んでいく。

【日本経済】

世界経済を見ると、米中摩擦の影響はじわじわと出てきている。積極的な投資を躊躇する動きも出始めているのか、実需もそれを反映している。来年にかけて状況はさらに厳しくなるのではないか。

こうした中、日本経済はそれほど大きな落ち込みはなく、産業構造の変化に備えての投資は変わらずしっかりなされているという感触を持っている。

【エネルギー政策】

日本のエネルギー政策の議論は、電力自由化と絡んでいることから、他国と比較しても、制度設計が複雑になっている。日本経済は落ちこんでいないが、省エネの進展などによって電力需要が減ってきている。つまり、電力市場が縮小していく中で、新たな投資が必要であり、ここに難しさがある。例えば、再生可能エネルギーの導入拡大に向けて、送電線整備、蓄電池の普及、分散型需給モデルへの移行などを実現するための投資が必要となってくるが、投資を回収できる仕組みが構築されていない。必要な投資が促進される仕組みをつくるべく、政府と連携しながら議論を加速していきたい。

【地方創生】

経団連はここ数年、地方創生に向けさまざまな取り組みを進めてきており、成果も着々と出始めている。しかし、人口減少を背景とする地方の疲弊は、これらが実を結ぶよりも速いスピードで進んでいる。この状況を危惧しているが、地方創生に特効薬があるわけではない。まずは、農業や観光などの活性化によって、各地域が一層魅力と活力に溢れ、多くの人を惹きつけ、それによってさらに地方が活況を呈するようにもっていきたい。

また、デジタルトランスフォーメーションに対応したサプライチェーンの再構築は、日本全土を視野に入れたものであり、この面でも、地方の実情を踏まえた取り組みを手堅く行っていく必要がある。

【経営労働政策特別委員会】

最近の経営労働政策特別委員会(以下、経労委)は、春季交渉に対する経営側の準備にとどまらず、雇用のあり方、働き方のあり方など、日本の産業構造を支える労働者と経営者に共通するテーマを議論する場になっている。今の議論の焦点も、日本型雇用のあり方である。働き手にとっても、自らの働きに対するフィードバックに乏しいという「エンゲージメント」の問題がある。よく議論して、働きがいのある職場づくりに向けて経労委報告でメッセージを打ち出したい。

【日韓関係】

歴史問題に加え、現下の朝鮮半島における不安定な政治状況もあり、大変難しい。日韓の経済界は、ビジネスを通じて、良好な関係を維持している。こうしたことが、両国関係の改善につながっていけばよいと考えている。

【Brexit】

EU離脱を決めた国民投票から3年余り経ったが、合意なき離脱という心底避けてほしいと願っていた事態に突入するリスクが高まっている。大変好ましくない状況である。一方、日本企業がグローバルな事業展開を行う上で、英国は極めて重要な国であり、英国にもう投資はできないと安易に判断するわけにはいかない。EU離脱後の新しい経済構造を、英国がどのように作っていくのか引き続き注視していく。

以上

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