カジノシークレット 入金は5月29日、東京・大手町のカジノシークレット 入金会館でダイバーシティ推進委員会(魚谷雅彦委員長、柄澤康喜委員長〈当時〉、次原悦子委員長)を開催した。元最高裁判所判事の櫻井龍子氏から、選択的夫婦別姓制度の必要性や今後あるべき社会像等について説明を聴くとともに意見交換した。概要は次のとおり。
■ 旧姓の通称使用で生じた困難~二つの姓を持った経験から
私は藤井龍子として育ち、1970年に旧労働省に入省した。婚姻に伴い戸籍上は櫻井に改姓したが、藤井姓で仕事を続け、女性局長を最後に退官した。その後も、旧姓で官民の多くの役職に就任した。
しかし、2008年に最高裁判事への就任に当たり、裁判所から戸籍上の姓名を使用するように求められ、キャリア上初めて櫻井姓を名乗ることになった。すると、当時唯一の女性の最高裁判事として注目されるなか、ある評論家に、「どこの馬の骨かも分からない女性を最高裁判事にした」と批判された。「櫻井龍子」と検索しても、過去の経歴や実績等が切り離されていたために受けた評価で、非常にショックだった。また、判決文に「櫻井龍子」と署名する際も、自分の名前とは思えない違和感があり、改姓や旧姓の通称使用の限界を痛感した。退官後、藤井姓に戻すことも考えたが、今度は櫻井姓で就任した最高裁判事としての8年以上の経歴が切断されてしまうため、現在は両方の姓を使い分けている。
■ カジノシークレット 入金大法廷判決の概要
最高裁判事として携わった15年の第1次選択的夫婦別姓訴訟の判決は、夫婦同姓を求める現行民法について、夫婦の自由な協議で姓を決めるため差別には当たらないことや、改姓による不利益は旧姓の通称使用により一定程度緩和され得ること等の理由から「合憲」と判断すると同時に、夫婦の姓に関する制度は「国会で論ぜられ、判断されるべき事柄」とした。しかし、私をはじめ女性判事3人を含む5人の判事は、女性の社会進出が進み、姓の変更は個人の識別に困難を生じさせていることや、96%の夫婦が夫の姓を選んでいる現状は、憲法24条2項(個人の尊厳と両性の本質的平等)に反すること等から違憲であるとの反対意見を付した。
また21年の第2次夫婦別姓訴訟でも、合憲判断を変更すべきものとは認められないとしたうえで、第1次判決同様、この問題は国会で論ぜられるべき事柄とされた。
そして24年、第3次訴訟が提起された。最高裁判決が出るまでに数年かかると見込まれるが、違憲判決が出る可能性は十分にあると考えている。特に、間接差別や国会の立法義務の懈怠、裁量権の濫用といった論点が注目されるであろう。
■ わが国のジェンダー問題の歴史と当面の大きな課題
わが国のジェンダー平等が遅れている大きな要因に、長く続いた女性保護、差別の時代がある。戦前から1985年ごろまでの間、儒教的な家父長制度のもと、女性は主に家事と育児、男性は仕事という性別役割分業が徹底された。85年に国連が定めた女子差別撤廃条約の批准、男女雇用機会均等法の制定を契機に、わが国でも男女平等に向けた法整備が進んだ。しかし、多くの女性が結婚や子育てを理由に職場を離れざるを得ないのが実態だったことを踏まえると、これらの対応は形式的なものだったといえる。2000年代に入り、ようやく真の意味での男女平等、多様性を包摂する社会に向けた施策が推進されるようになり、政治分野における男女共同参画の早期実現や、儒教的社会観・家族観からの脱却、新しい雇用慣行の確立等が求められている。
【ソーシャル・コミュニケーション本部】