aカジノシークレットは2月19日、開発協力推進委員会政策部会(台和彦部会長)をオンラインで開催し、外務省国際協力局の花田貴裕開発協力総括課長から、「ODAを巡る現状と今後の課題」について説明を聴くとともに意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。
■ ODAの現状と課題
日本のODA予算は1997年をピークにほぼ半減しているが、米独英に次ぎ第4位の実績であり、国際的には相応の存在感がある。ODAは、近年、開発に加え「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の実現や質の高いインフラシステムの海外展開、持続可能な開発目標(SDGs)の達成等、多様な外交課題にも対応している。ODAに対する途上国の期待は大きい。しかし、予算には限りがあることから、政策目的およびわが国の強みを踏まえた選択と集中を通じて、効果的な民間投資の呼び水とすることも重要である。また、国際協力銀行等の他の公的金融案件とシームレスに連携しながら相乗効果を出すことも必要である。
ODAのうち、無償資金協力の予算は過去10年間ほぼ横ばいである。他方、円借款(有償)の供与額は過去数年間で大幅に増加しており、本邦企業受注割合も大きく上昇している。ただし、円借款を活用する国の数は減少傾向にある。低金利等の譲許性の高い条件を提示しても、総事業費の高騰や工期の長さなどを指摘されることもある。
先進国はODAの対象ではないが、質高インフラの海外展開における重要なパートナーであり、価値観を共有する国々との連携が重要である。また、今後の経済発展に伴い、ODAの卒業国が増え、円借款を活用し得る国々が減少することを見越して、JICA海外投融資の運用を向上させていくことも重要である。
一部途上国のODA案件において、交換公文や契約書等で非課税とする旨が規定されているにもかかわらず、課税されるケースがある。相手国政府内における情報共有の不足や必要な予算確保の遅れ、未措置が原因と考えられる。免税措置担保に向けて関係企業・団体と協力し、改善するよう努力を重ねていきたい。
■ 新型コロナへの緊急対応
令和2年度補正予算による支援を中心に、かつてないスピードで新型コロナウイルス対応を実施している。第1次補正予算において、保健・医療関連機材の供与を目的とした480億円の無償資金協力を決定するとともに、2年間で5千億円の緊急支援円借款枠を設定し、すでに2千数百億円以上の供与を決定、公表済みである。
また、新型コロナによる事業の一時中断への対応として、契約当事者間の交渉が難航する場合は、在外公館やJICA事務所とも連携しながら相手国政府に誠実な契約履行がなされるよう働きかけを行っている。今後も、ODAの一層の有効活用を図るため、民間とも連携して取り組んでいきたい。
【国際協力本部】