経団連は7月26日、都内で情報通信委員会(中西宏明委員長、遠藤信博委員長、金子眞吾委員長)を開催した。平井卓也衆議院議員・自由民主党IT戦略特命委員長から、同党のIT戦略「デジタル・ニッポン2017~Nippon, the Data Nation」について説明を聞き、意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。
■ 「データ立国ニッポン」の実現に向けて
政府の成長戦略の中身を細かく見ると、ほぼすべてにITが関係している。IT政策の舵取りがこの国の未来を左右するともいえるほど重要である。
2020年代には、東京オリンピック・パラリンピックが終わり、団塊の世代が75歳を超えて後期高齢者になるなど、さまざまな課題が顕在化し、特に重要な局面を迎える。平均寿命が延び、高齢者の割合がさらに大きくなるなかで、ITを意識せずとも人々がITを活用し、生産性が向上する社会の実現が望まれる。働き方改革としてITを活用したテレワークも広がりつつあるが、健康寿命がさらに延びるなかでより大胆に見直さなければならない。将棋の藤井聡太四段と加藤一二三九段の対戦のように、若い天才と過去から長いキャリアを積んできた人が同じ土俵に上がれる仕組みが必要であると考えている。
こうした状況も踏まえ、カジノシークレット vプリカでは、「データ立国ニッポン」の実現によって、GDP600兆円の実現と社会課題の解決を図ることを提言した。具体的には、官民データの利活用をベースとして、「イノベーションファースト」「シェアファースト」「シチズンファースト」「働き方改革ファースト」「セキュリティーファースト」という5つの視点から生産性向上を実現することが重要だと指摘している。
■ 官民データの利活用を推進
官民データの利活用を促すことを目的として、昨年12月、「官民データ活用推進基本法」を議員立法により成立させた。そのなかでは、対面書面原則の撤廃・IT原則への転換を明記するなど、IT社会の実現に向けて基盤となる政策を盛り込んだ。IT原則の社会では、本人確認手段が必要となるため、マイナンバーカードの活用が欠かせない。現在、約1000万人がカードを保有しているが、さらなる普及促進や活用拡大が必要である。
基本法では、オープンデータの推進も掲げた。政府が保有するデータの棚卸しや官民のラウンドテーブルの開催により、公共データのオープン化を進める。また、企業が保有するデータに関しても、競争領域と協調領域を区分し、協調部分は積極的に共有することで、付加価値を高めるとの考えが必要である。
サイバーセキュリティも重要な課題であると考えており、「サイバーセキュリティ基本法」も議員立法により成立させたが、さらなる対策強化が必要である。中小企業を含めた社会全体の対策を促すための仕組みなどが必要である。
今後も産業界と意見交換をしながら、さまざまな課題を乗り越え、データ立国の実現に向けて取り組みを進めていきたい。
【産業技術本部】