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2023年10月10
一般社団法人 日本経済団体連合会

【主要政党の政策評価】

「政治との連携強化に関する見解」の本年度版を取りまとめたので公表する。政治と経済が力を合わせて、国内投資の活性化や産業競争力の強化、財政健全化、税・社会保障一体改革、自由で開かれた国際経済秩序の再構築などに取り組んでいく必要がある。また、企業の社会貢献の一環として、クリーンで透明性の高い民間寄附を拡大することは重要であり、本年も、会員各位に自主的な判断に基づく政党への政治寄附を呼びかける。

自民党を中心とする与党は、デフレからの脱却・力強い経済の再生、グリーントランスフォーメーション(GX)やデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進、こども・子育て政策の強化などに精力的に取り組んでいる。加えて、G7広島サミットの成功、日韓関係の改善、防衛力の抜本的な強化など、積極的な外交・安全保障政策が実を結んでいる。こうしたことから、その政策・取り組みを「高く評価できる」とした。

政権には、引き続き国民との積極的な対話を重ね、スピード感をもった政策を実行・推進することを期待する。経団連は今後も、政治との連携を強化していく。

〔より重点的に、スピード感をもって取り組んでほしい政策課題を問われ、〕少子化対策や全世代型社会保障改革といった、わが国が抱える構造的な問題に、従前どおりスピーディーに取り組んでいただきたい。

【経済対策】

わが国のマクロ経済環境を見ると、需給ギャップはほぼ解消されており、今後は、供給サイドを強化することによって経済成長と賃金上昇が持続する「成長と分配の好循環」を実現しなければならない。政府が掲げる経済対策の5本柱は、こうした考えに沿ったものであり、国内投資の促進や中小企業の生産性向上支援策といった供給力強化、社会インフラの基盤整備に資するものが、中長期的な観点から盛り込まれている。キーワードは「持続性」であり、物価高対策や所得税等の減税措置といった足元の対策は、(経済情勢などを総合的に勘案して、)真に必要な方々に対象を絞るべきである。

【中東情勢】

〔緊迫化する中東情勢について問われ、〕暗澹たる思いである。双方に一般市民を含めて甚大な被害が及んでおり、事態を深く憂慮している。中東情勢の緊迫化が長引けば、原油の供給不安や、イスラエルに進出する日本企業への悪影響も懸念される。一刻も早い停戦と解決を切に願う。

【大阪・関西万博】

〔大阪・関西万博の会場建設費の2度目の増額がなされるとの報道について問われ、〕昨今の人手不足や物価上昇により、建設費を1,850億円から相当程度上乗せする必要があると認識している。具体的な金額は精査中であるが、極力工夫を凝らして、増額の幅を抑えていきたい。今回が最後の増額であり、これ以上の増額は政策的にも政治的にも難しいと思う。なお、政府と大阪府・市、経済界で会場建設費を3分の1ずつ負担する原則は維持すべきである。

〔会場建設費の増加分は、入場料の引き上げや、パビリオンの規模縮小、簡素化でまかなうべきではないかとの指摘を受け、〕大阪・関西万博は、世界における日本のプレゼンスを高めるものであり、世界が分断傾向にあるなか、「いのち」をテーマとする国際行事は大きな意味を持つ。万博は国家的イベントであり、来場者のみならず、国民全体がそうした意義ある行事に触れ、メッセージを受け取るものだ。パビリオンの規模縮小や簡素化については、万博のクオリティを落とさない範囲で、既に取り組んでいるところである。

【札幌冬季五輪】

〔札幌市が2030年の冬季五輪の招致を断念し、2034年以降の招致へ方針転換したとの一部報道の受け止めを問われ、〕オリンピック・パラリンピックは、感動や世界の方々との親交、一体感を呼び起こす、意義深いイベントである。(報道内容が事実であれば)2030年の招致を断念したことは残念である。ただ、オリンピック・パラリンピックは、地元の方々の理解が得られないまま開催すべきものではない。もう少し時間をかけて地元の理解増進に丁寧に取り組みたいという市の判断であれば、尊重したい。

【埼玉県虐待禁止条例改正案】

〔児童だけの留守番や登下校なども禁止する埼玉県虐待禁止条例の改正案が取り下げられた(10月10日)ことの受け止めを問われ、〕報道内容以上のことを承知しておらず、コメントは差し控えたい。

一般的に、著しく危険な状況で児童を放置することは言語道断であり、許されない。ただし、禁止する放置の程度については、ベビーシッターが(他国に比べて相対的に)普及していないといった社会の状況や、子育て世帯の仕事や生活実態などを十分に考慮し、よく検討すべきである。

【ジャニーズ事務所関連】

〔ジャニーズ事務所の記者会見(10月2日)の発表内容の受け止めを問われ、〕人権侵害、子どもへの性加害は断じて許されないことであり、再発防止策を徹底することは不可欠である。他方、日々研鑽を積んでいるタレントの方々の活動の機会を長きにわたって奪うことも問題である。社名変更とともに、被害者救済を行う会社とタレントのマネジメントを担う会社に分離したことで、これらの問題解決に向けて動き始めたと言えるのではないか。被害者救済と再発防止を確かなものとするためには、透明性をもったガバナンス体制の構築が不可欠である。発表された内容だけでは、これで十分と言え(る判断材料が揃っておら)ず、今後の取り組みを注視したい。

本件に関する司法の判断が確定したのは2004年であり、マスメディアや企業も含め、日本社会全体が(その後長年にわたり)真正面から向き合ってこなかったことを反省する必要がある。

以上

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