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2023年9月19
一般社団法人 日本経済団体連合会

【内閣改造】

岸田内閣は2021年10月の発足以来、重要課題に果敢に取り組み、数多くの実績をあげてきており、高く評価している。

日本経済は今、長年続いたデフレから脱却し力強い経済成長を実現できるかどうかの正念場にある。新内閣は、基本骨格を残しながらも多様性を備えた陣容であり、内外に山積する重要課題にスピード感をもって取り組まれることを期待したい。

経団連は官民連携で、デフレ脱却、持続的な賃上げなどによる成長と分配の好循環の実現に取り組んでいく。

〔副大臣、政務官の女性登用がゼロであることの受け止めを問われ、〕女性閣僚は内閣改造前の2名から、5名に増えている。政府全体として、多様性への配慮と適材適所の人事を行われたものと承知しており、一定の評価をしたい。

〔産業別労働組合出身で元国民民主党参院議員の矢田稚子氏が賃金・雇用担当の首相補佐官に任命されたことについて問われ、〕経営者側と労働者側は、昔のような闘争ではなく、近年の春季労使交渉からも明らかなように、成長と分配の好循環に向けて協調関係にある。人への投資を最重要課題の一つに掲げる岸田政権が、労働組合での経験に期待して矢田氏を登用したことに何ら違和感はない。

【経済対策】

〔岸田政権が10月中の取りまとめを目指す経済対策について問われ、〕わが国は今、デフレ脱却、力強い経済成長ができるかどうかの瀬戸際にある。政府・日銀が歩調を合わせて慎重に財政政策・金融政策に取り組んでいるなかにあって、急激なエネルギー料金高騰への対策を時限的に講じることは理解できる。

【税制改正提言】

〔経団連が令和6年度税制改正に関する提言(9月12日公表)において、社会保障財源としての消費税の引き上げを中長期的には有力な選択肢の1つとしていることについて問われ、〕先般のこども未来戦略会議でも申し上げたとおり、少子化対策として取り組むべき中長期的な課題の1つは、全世代型社会保障制度の構築により、若い世代に蔓延する漠然とした将来不安を払拭することである。少子化・高齢化が加速するなか、現行の社会保障制度がいずれ成り立たなくなることは明白である。社会保険料は現役世代に負担が偏重する性質のものであるため、社会保障財源を社会保険料だけに求めていては賃上げの効果が減殺される。社会保障制度の持続可能性を堅持するためには、経済情勢を踏まえながら、基幹3税(消費税、法人税、所得税)などを含めた、税と社会保障の一体改革を行う必要がある。

経団連は、こうした考えをわかりやすく、粘り強く国民の皆様に発信していきたい。

〔消費増税は、経済基盤の弱い層にとって将来不安を増長させるのではないかとの指摘を受け、〕消費税には確かに逆進性の欠点があるが、社会全体で広く薄く負担できるという利点もある。経団連は、今後のわが国の人口構成も踏まえたうえで、様々な税目を議論の対象とし、応能負担のあり方を検討すべきであると提言している。

【ジャニーズ事務所の性加害問題】

〔長年にわたり性加害が行われてきたこと、ジャニーズ事務所が公表した調査結果・救済措置、企業の取るべき対応等について問われ、〕個別案件についてのコメントは控えたい。人権侵害や児童虐待、犯罪といったことは断じて許されない。経団連は「企業行動憲章」に「すべての人々の人権を尊重する経営を行う」ことや、経営者自らが「実効あるガバナンスを構築して社内、グループ企業に周知徹底を図る」ことを明記し、実践を促している。この基本姿勢を堅持し、強く訴えていく。(したがって、被害者救済と再発防止に取り組むことは当然であり、)企業が、人権侵害や犯罪といったことは断じて許さないという基本姿勢を内外に示すことは極めて重要である。(一般論として、)タレントの方々はモノではない。コンプライアンス違反をした企業の製品、商品の不買運動をするというのとは少し違うのではないか。日々研鑽を積んできたタレントの方々の機会を長きにわたって奪うということについては、皆で十分に考える必要があるのではないか。こうしたことも含めて、どのように被害者救済と再発防止に最大限取り組むのかについて、もう少し検討すべきである。性被害は2004年の最高裁判決で認定されている。日本社会全体でそれがなんとなくやり過ごされてきたという面もある。そのことももう少し深く考えるべきではないか。

〔ジャニーズ事務所による被害補償及び再発防止策(9月13日発表)の評価を問われ、〕被害者救済、再発防止とともにタレントの今後の活動に関する検討が十分になされていないのではないか。

【ビッグモーターによる保険金不正請求問題】

〔ビッグモーターの保険金不正請求問題に関連し取り沙汰されているSOMPOホールディングス(損害保険ジャパンの親会社)のガバナンスに関する責任について問われ、〕SOMPOホールディングスによるガバナンスの状況については、金融庁による立ち入り検査中と承知している。同社から調査結果の報告を受けるまでコメントは差し控えたい。

以上

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