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2023年6月5
一般社団法人 日本経済団体連合会

【OPECプラス協調減産延長】

エネルギーの安価で安定的な供給は、わが国の国民生活、事業活動の基盤である。協調減産の継続決定は、需給のタイト化、原油価格の高止まりにつながる恐れもある。政府には、世界の原油市場の安定化に向け、エネルギー需給の動向に合わせた機動的かつ適切な対応を期待する。

【少子化対策】

〔「こども未来戦略方針」素案(6月1日公表)についての受け止めを問われ、〕本来であれば、中長期的な視野に立った施策も同時になされるべきだが、当面のこども・子育て支援を急ぐことは理解できるので、効果のある施策は完遂していただきたい。しかし、施策のメリハリ付けの観点からすると、極めて厳しい財源の中で、所得制限を撤廃し高額所得者の世帯にまで児童手当を支給することについては納得感が少ない。

少子化対策として取り組むべき中長期的な課題は大きく三つある。第一に、希望する若い世代が結婚でき、子どもを持てるだけの所得水準を可能とする賃金引上げである。第二に、若い世代の将来への漠然とした不安を解消できる全世代型社会保障制度の構築である。第三に、性別を問わず仕事と育児の両立を可能とする働き方改革も重要課題である。とりわけ、全世代型社会保障の観点から、税を含めた財源のベストミックスに向けた議論は避けて通れない。「異次元」の少子化対策を掲げる政府には、引き続き検討を重ねていただきたい。

〔少子化対策に関する企業の取り組みについて問われ、〕企業が働き方改革を通じて少子化対策に貢献していくことは不可欠である。特に、男性の育児休業取得促進は重要である。会員企業には、取得率だけでなく取得日数も重視した形での取得促進を呼びかけていく。他方、企業の実態や個人の希望が多様であることから、社員の出生率の公表義務化については慎重に考えなくてはならない。各企業が他社の好事例も参考にしつつ、自主的に取り組むことで、働き方改革が社会に広まっていってほしい。

【日経平均株価】

〔日経平均株価が33年ぶりに終値3万2000円台の高値をつけたことへの受け止めを問われ、〕旺盛なペントアップ需要や、日銀の金融緩和継続などの複合的な要因から、日本経済が高評価されているのであろう。ただし、あくまでも相対的な評価であり、喜んでばかりはいられない。株価の評価は中長期の視点でなされるべきである。

【男女共同参画】

〔東証プライム市場上場企業の女性役員比率を2030年までに30%以上とすることを目指す等を掲げる、政府の男女共同参画会議の重点方針案(6月5日公表)の受けとめを問われ、〕多様性の面で日本社会は欧米に遅れをとっている。女性活躍の推進は不可欠だ。他方、過度に厳しい数値義務を課すことで、企業が実のない形式的な対応をとっては元も子もない。経団連はかねてより2030年までに役員の女性比率を30%にすることを目指して取り組んでいる。政府の方針は、経団連と同様の実践的な現実解である。各社が実態に応じて目標達成の道筋を描くとともに、社員に対し実務経験等を積む機会を積極的に提供する、責任あるポストにつける、といった取り組みを進めることによって、日本社会の多様性が高まっていくことが望ましい。

【外国人労働者】

〔在留資格「特定技能2号」の対象分野を拡大する政府案が自民党部会で了承(5月23日)されたことへの受け止めを問われ、〕生産年齢人口が減少傾向にあるわが国にとって、人手不足への対応は喫緊の課題である。在留期間の上限がない「特定技能2号」の対象分野を拡大する方向で、技能を持つ外国人材が活躍できるよう議論が進んでいることは歓迎である。分野拡大にあたっては、外国人労働者が日本で長く働くことができ、家族を含めて日本社会に溶け込むことができるような環境整備が求められる。

以上

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