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2020年12月21日
一般社団法人 日本経済団体連合会

【カーボンニュートラル】

2050年カーボンニュートラル(以下、2050CN)の実現は大きな挑戦である。EUでも、国ごとの事情が異なる中、このままでは地球が持たないという危機感の下で取り組まれているのが現実である。日本は火力発電への依存度が高い状況にある。国を挙げて、エネルギー政策を含め、マクロ・ミクロ両面で2050CNの実現方策を考え、イノベーションを創出していく必要がある。課題は多々ある。温室効果ガスの排出を一気にゼロにすることは不可能なことから、トランジションの取り組みへの支援も必要である。補正予算で打ち出された2兆円基金など、政府と民間が力と知恵を出し合って、ダイナミックに投資ができる環境をつくることを通じて課題を解決していかなければならない。その意味で、2050CNは成長戦略である。

【カーボンプライシング】

経済界としてはこれまで、カーボンプライシングは有効に機能しないとの懸念を持っており、慎重な姿勢をとってきた。2050CNに向け、全般的な取り組みが求められるが、カーボンプライシングの議論を拒否するところから出発するのではなく、機能するのかどうか、総合的な検討が必要である。そうした中、菅首相が梶山経済産業大臣と小泉環境大臣に検討を指示したことは、自然なことである。日本のエネルギー・ポートフォリオや既存の施策との関係を整理し、相当しっかりした設計がないと機能しないのではないか。

【令和3年度予算案】

事業継続により雇用を守りつつ、所得水準を維持し、さらに成長も遂げるという決意を示した予算であり、強く支持する。

【財政再建】

団塊の世代が間もなく後期高齢者になろうという今、わが国の財政がぎりぎりの状態で運営されていることを国民レベルで認識する必要がある。来年度予算を次の成長の糧にしていかないと、様々な問題が生じかねない。

【春季労使交渉】

コロナ禍にあって雇用維持と事業継続に懸命に取り組む企業がある中、来年の春季労使交渉において、賃金引上げのモメンタムに関して一律に対応することは困難であろう。

一方、わが国の所得水準はこの20~30年間低い伸びで、今や、OECD加盟国中で下位にあることをよく認識すべきである。ただし、産業構造に関わる課題など様々な要因があり、春季労使交渉だけで対処できる問題ではない。

賃上げのモメンタムを意識して検討することが第一歩である。多様でインクルーシブな働き方を含め、わが国全体の所得水準や生産性の向上に資する方策について、労使の間で議論を深めていく必要がある。

【今年の漢字】

コロナ禍によって、今年は働き方や生活のあり方など大きな転換を迫られたことから、「換」としたい。

以上

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