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2019年10月21日
一般社団法人 日本経済団体連合会

【令和元年台風第19号】

台風第19号による被害は甚大であり、亡くなられた方々にお悔みを申し上げるとともに、被災された方々に心よりお見舞いを申し上げる。今般の被害を国全体の教訓にするとともに、経済界としても真正面から受け止めて、よりしっかりとした対策を講じられるよう議論に参画していく。

台風第19号の被害に対応する補正予算案では、国民生活に直結する洪水被害対応をまず手当すべきである。他方で、補正予算とは別枠で、被害を受けた電力や上下水道、鉄道等のインフラ復旧について、官民が連携して対応していく必要がある。

【地方創生】

経団連はかねてからデータやIT等を活用した地方創生を提言している。その提言内容が実現するのと、人口減少で地方がさらに疲弊するのと、どちらが先かというタイムレースの様相を呈してきている。地方には、インフラ整備も重要だが、人口減少問題への対応の方がより深刻だとの声もある。相当な危機感をもって政治と経済の両面から、様々な対策を講じていく必要がある。

【デジタル分野の規制】

ビッグデータを大量かつ迅速に処理することが技術的に可能となり、これを活用する産業が様々な形で発展している。その大きなインパクトをうまく活用するのがSociety 5.0であり、データ利活用のあり方は重要な課題となっている。GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)、BAT(Baidu、Alibaba、Tencent)などと呼ばれる企業、デジタルプラットフォーマーによる消費者の個人情報等の取得・利用については、日本のみならず世界の主要国でも認識され始め、議論が緒についたところである。こうした中、わが国において、データをどのように活用するかの議論を抜きに、独占禁止法の「優越的地位の濫用」の観点だけで規制することは困難ではないか。世界に先駆けて日本だけ規制を強化すれば、イノベーションの阻害要因になる恐れがある。個人情報の保護と個人情報の有効活用とのバランスのとれた制度設計が求められる。例えば、プライバシー保護に留意しつつ、患者の病歴データを積み重ね、統計的に処理すれば、患者本人の健康管理に資するものとなるのではないか。こうしたポシティブな捉え方もまじえ、しっかりと議論する必要がある。

【Brexit】

経団連は一貫して、合意なき離脱の回避を求めてきているが、その可能性を払しょくできないまま10月31日の離脱期限が迫っている。ここに至っても、予測は困難である。Brexitをめぐる英国内の混乱が大きいことを改めて認識するとともに、それが経済に及ぼすマイナスの影響を憂慮している。

【自然災害対策】

まずは、今回のような規模の台風が頻発し、首都を直撃する可能性もあることを前提に、都市設計やインフラ、各種設備の見直しを検討する必要がある。

気候変動問題について、日本は2050年に温室効果ガス排出量を80%減とする目標を掲げているが、これまで以上に危機感をもって取り組まなければならない。「日本が排出するCO2は世界全体の数パーセント」という議論だけでは成り立たないのではないか。

【大学教育改革と採用のあり方】

人生100年時代にあっては、各人が人生のステージごとに制度設計を考えていく必要がある。そうした大きな流れの中で、定年延長や新卒一括採用の見直しの議論が必要となる。大学側は、いつでも大学に戻って学び直しができ、人生設計に役立てることができる教育機関に変わっていく方向で検討を進める必要がある。

新卒一括採用と通年採用を組み合わせるといった単純な話ではない。経営労働政策特別委員会報告や採用と大学教育の未来に関する産学協議会の提言において、日本型雇用が今後どう変わっていき、どう人生を豊かにしていくのかといった本質的かつ明確な展望を示したい。

【日韓関係】

日本と韓国の間の経済交流と両国間の歴史問題は別次元の話である。両国は密接な経済関係にあり、未来志向でこれをさらに発展させていきたい。そのための対話を継続していく。

以上

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