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2017年9月11日
一般社団法人 日本経済団体連合会

【東日本大震災からの復興】

東日本大震災から6年半が経過した。復興に向けて、生活基盤の再建には一定の目処がついてきた。避難者数もこの一年で半分ほどに減り、2017年7月時点では約5万人となった。他方、産業の再生は道半ばであり、風評被害の払拭が大きな課題となっている。とりわけ地域経済を支える農林水産業、観光業にとって、根強い風評被害の問題が足かせになっている。国内でも、福島県産品の買い控えが残り、いまだに東北産品の輸入を禁止する国もある。例えば、特産品の帆立貝は震災前、韓国、中国などが大量に輸入していたが、今でも輸入禁止が継続し、売れ残りが生じている。産業の再生を図るうえでは、風評被害の払拭が鍵である。経団連としても、風評被害の払拭に向けて、11月に東北プロモーションキャンペーンを実施し、11月24日には「東北プレミアムマルシェ」を開催する。被災地産品の消費拡大、東北への観光促進を会員企業に呼びかけていく。

【こども保険】

まず、名称について保険とは何らかのリスクを手当てするものであり、子育てをリスクとし、これを保険で賄うことには問題がある。また、受益者は子育て世帯に限られる一方で、負担者は子育てが終了した世帯、子どもを持たない・持てない世帯にわたり、受益と負担のバランスの面でも課題がある。社会保険料率を0.1%引き上げて、未就学児童に月額5000円を付与するという構想であるが、これでは子育て支援の一助にはなっても、子育てを巡る問題の根本的な解決にはならない。また、所得制限を設けずに実施することも問題である。経団連としては、保育サービスなどの現物給付の方が社会における優先順位が高いという点も主張している。

こうした政策を巡る議論と経営者による年金返上は同列のものではないと認識している。年金返上はあくまで機運醸成を狙ったものであり、財源にはならないと理解している。また、年金返上は個人が自発的な意思に基づき、判断して行うものである。みんなで呼びかけ合って足並みを揃えてというものではない。

【原発再稼働】

原発の再稼動に向けて、まずは世界一厳しいとされる原子力規制委員会の審査に合格することが重要である。そのうえで、地元自治体・住民の理解を得て、速やかに原発が再稼働されていくことを期待している。東京電力の柏崎刈羽原発6・7号機について、今週中にも原子力規制委員会の審査が行われると聞いているが、これに合格し、地元住民、自治体の理解を得て、早期に再稼働がなされることを期待したい。

【プレミアムフライデー】

開始から半年が経過したので、一度、総括する必要がある。東京をはじめとする首都圏や静岡など一部の地域では継続的にプロモーションが行われているが、全国レベルでは、ほとんど浸透していない地域もあり、首都圏でも一時の盛り上がりが見られないという課題もある。給料日後の方が消費拡大への効果が大きいと考え、月末金曜日にしたが、月末は決算や営業の追い込みといった繁忙期に重なるという声はある。今後、見直すとすれば、月末というタイミングもその対象になるだろう。

【大学改革】

教育の機会均等、大学改革は人生100年時代構想会議のテーマとしても取り上げられているように、国の重要課題の一つである。例えば、人口減少社会における大学の定員のあり方について、東京に限らず国全体として、議論していく必要がある。定員の問題をはじめ大学改革を進め、わが国の高等教育の質を高めていくことが求められている。

【日韓関係】

1965年の日韓請求権・経済協力協定により、徴用工についての請求権の問題は解決済みと認識している。今後も日韓政府間の合意に基づき、適切に処理されることを期待したい。

【北朝鮮を巡る問題】

北朝鮮がミサイル発射と核実験を強行したが、これはわが国だけではなく、北東アジア、米国を含めた世界の安全保障に対する極めて重大な脅威であり、断じて容認できるものではない。日本政府はすでにさまざまな対応を進めているが、米国、韓国、中国、ロシアなどの関係国ならびに国連と緊密に連携し、断固たる対応をとってもらいたい。

以上

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