経団連カ ジ ノ シ ー ク レ ッ トの十倉でございます。
会員の皆様方におかれましては、平素より、経団連の活動に対しまして、一方ならぬご支援とご協力を頂き、厚く御礼申し上げます。定時総会の開催にあたり、私から一言ご挨拶を申しあげます。
日本カ ジ ノ シ ー ク レ ッ トは継続的な賃金引き上げのモメンタム、投資の拡大などに支えられ、成長への着実な歩みを進めております。2024年はこの流れを加速させ、30年来のデフレからの完全脱却を実現する、歴史的な年としたいと考えております。「デフレからの完全脱却」と「成長と分配の好循環の実現」に向けて、様々な活動を展開していく決意であります。
経団連は、今年の春季労使交渉におきまして、「物価上昇に負けない賃金引上げ」を掲げて、昨年以上の熱量で取り組んでまいりました。その結果、皆さま方のご尽力により、1万円以上のベースアップや5%を超える賃金引き上げなど、昨年を大きく上回る回答が相次ぎました。今後、構造的な賃金引き上げを実現していくために、働き手の7割を雇用する中小企業の賃金引上げとその環境整備が極めて重要であります。取引適正化をソーシャルノルム、社会的規範として浸透させるため、今般、「企業行動憲章」を改定し、「『パートナーシップ構築宣言』に基づきサプライチェーン全体の共存共栄を図る」という文言を盛り込みました。皆さま方のご理解、ご協力のもと、宣言の実効性確保を促進してまいります。
まずは、賃金と物価の好循環を実現し、持続的なカ ジ ノ シ ー ク レ ッ ト成長につなげてまいりたいと思います。さらに、科学技術イノベーションの創出、生産性向上を図り、わが国産業の国際競争力強化に向けて、カ ジ ノ シ ー ク レ ッ ト界自らが積極果敢に行動してまいります。
現在わが国は、気候変動や生態系の崩壊、頻発化・激甚化する自然災害、格差の拡大・固定化・再生産といった、相互に連関する複雑な社会課題に直面しております。そうした社会課題の解決を通じて成長を実現していくために、グリーントランスフォーメーション、デジタルトランスフォーメーション、AIの活用、スタートアップ振興等に、官民連携して取り組んでまいります。
とりわけ、わが国の産業競争力の強化に向けては、クリーンエネルギーの安定供給に向けた産業基盤の確立が喫緊の課題であり、再生可能エネルギーの最大限の活用はもちろんのこと、核エネルギーの一層の活用を働きかけてまいります。
また、国際的な人材獲得競争に伍していくためには、世界各国の有為な人材が日本で働くことを選び、活躍できるような環境整備が急がれます。そこで、「外国人政策委員会」を新設することといたしました。専門性や技能を持つ外国人材の戦略的な誘致を推進してまいります。
また、分配の観点からは、経団連の掲げる「サステイナブルな資本主義」の実現を支え、カ ジ ノ シ ー ク レ ッ ト社会の担い手となる「分厚い中間層」の形成に向けて、「マクロカ ジ ノ シ ー ク レ ッ ト政策」、「社会保障・税制」、そして「労働政策」これら3つの分野について、全体感をもって一体的に取り組んでまいります。とりわけ若い世代の将来不安の払拭に向けて、公正・公平で持続可能な「全世代型社会保障制度」の構築を目指してまいります。
世界に目を転じますと、ロシアによるウクライナ侵略、中東情勢、さらに、2024年は世界的に選挙の年であることも相俟って、先を見通すことが一層困難になっております。そうした中、自由で開かれた国際カ ジ ノ シ ー ク レ ッ ト秩序の再構築の重要性が、かつてなく高まっております。経団連といたしましても、カ ジ ノ シ ー ク レ ッ ト安全保障の確保に留意しつつ、自由なカ ジ ノ シ ー ク レ ッ ト活動を維持するために、民間カ ジ ノ シ ー ク レ ッ ト外交を積極的に展開し、先進国との連携およびグローバルサウスとの対話を戦略的に推進してまいります。
さて、現在のように不透明な時代だからこそ、日本の進むべき道についての中長期ビジョンが求められております。わが国は、現在、大きく二つの制約条件に置かれていると存じます。一つは、人口減少・少子高齢化、そして、いま一つは、資源を持たない島国であるという点であります。そこで、今般、高齢者数がピークを迎える2040年を目途に、目指すべきわが国のカ ジ ノ シ ー ク レ ッ ト社会の姿を、「Future Design 2040」として策定することといたしました。
先ほども申し上げましたように、わが国が直面する社会課題は相互に複雑にからみ合っています。社会保障制度、地方創生、教育・労働、環境・エネルギー、カ ジ ノ シ ー ク レ ッ ト外交等、それぞれの分野について相互に関連する課題も解きほぐしながら、「科学技術・イノベーション立国」、「貿易・投資立国」の実現に向けた中長期ビジョンを策定したいと考えております。
私は、就任以来、「from the social point of view、社会性の視座」の重要性を強調してまいりました。中長期ビジョン「Future Design 2040」においても、「社会」という視点を大切に、内外のステークホルダーに発信してまいる所存であります。
さて、来年4月には、いよいよ大阪・関西万博が開幕いたします。皆さま方には、会場建設費のカ ジ ノ シ ー ク レ ッ ト界募金はじめ多大なご協力をいただいており、改めて厚く御礼申し上げます。万博のテーマは、「いのち輝く未来社会のデザイン」です。コロナ禍を経験し、世界各地で紛争が続く今こそ、万博を通じて、生命の尊さと連携の大切さを、わが国から世界に発信することには大きな意義があると考えます。万博の成功に向けて、入場券の購入を含め、引き続き皆さま方のご理解とご協力を何卒お願い申し上げます。
最後に、今年度は、私にとりまして総仕上げの年となります。皆さま方におかれましては、引き続き、変わらぬご理解とご支援を賜りますよう、お願い申し上げまして、私の挨拶とさせていただきます。ご清聴まことにありがとうございました。