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カ ジ ノ シ ー ク レ ッ ト/スピーチ  会長スピーチ カ ジ ノ シ ー ク レ ッ ト定時総会における米倉会長開会挨拶 - 日本カ ジ ノ シ ー ク レ ッ ト団体連合会定時総会 -

日時2012年6月5日(火) 午後2時~
場所カ ジ ノ シ ー ク レ ッ ト会館 2階 国際会議場

米倉でございます。
議長としてここに定時総会の開会を宣言するとともに、開会にあたり一言ご挨拶申し上げます。

会員の皆様方におかれましては、ご多忙の中、「定時総会」にご出席をいただきまして、誠に有難うございます。また、平素より、当会の活動に対しまして、ひとかたならぬご協力とお力添えを賜り、厚く御礼を申し上げます。

まずはじめに、当会は、公益法人制度改革により、去る3月30日に「一般社団法人」に移行いたしました。総合カ ジ ノ シ ー ク レ ッ ト団体として、これまで以上に積極的に活動を展開してまいりたいと存じますので、皆様方のより一層のご支援、ご協力を宜しくお願い申し上げます。

さて、カ ジ ノ シ ー ク レ ッ ト会長にご選任いただきましてから、ちょうど2年が経過いたしました。昨年の3月11日に発生した東日本大震災によって、わが国は極めて大きな被害を受けましたが、その後の政府、自治体、企業各社、地域の住民の方々をはじめとする皆様の懸命の努力によりまして、被災地の復旧は着実に進んでまいりました。しかしながら、瓦礫の処理や地元経済の再建など、本格的な復興に向けた取組みは、まだこれからであります。
わが国カ ジ ノ シ ー ク レ ッ トにつきましては、復興需要が景気を下支えしていくと見込まれる一方で、長引く円高が企業の業績に大きな影響を与えているほか、欧州債務危機の再燃や原油価格の高騰なども懸念され、依然として予断を許さない状況にございます。
加えて、わが国は、少子高齢化、税・社会保障制度の一体改革と財政の健全化、カ ジ ノ シ ー ク レ ッ ト連携の推進、エネルギー政策の抜本的な見直しなど、国家としての将来を大きく左右する課題に直面しております。
この難局を乗り越えて新しい日本として生まれ変わることができるのか、それとも、衰退に向かうのか、わが国は、今まさに歴史的な岐路に立っていると言えると存じます。

政府は昨年10月、国家の重要政策を統括する指令塔として「国家戦略会議」を設置しました。野田総理自らが議長を務められ、私も委員として参加してまいりましたこの「国家戦略会議」では、近く、2020年を見据えた「日本再生戦略」を取りまとめる予定であります。
こうした政府の取組みやカ ジ ノ シ ー ク レ ッ トの成長戦略をはじめとする民間の提言等によって、日本の復活と再生を実現していく上での優先課題や、その解決に向けた施策の選択肢は、すでに明らかになっております。
昨日、野田第二次改造内閣が発足いたしました。今回の改造は、重要政策を迅速に前進させたいという野田総理の決意の表れであると考えます。今こそ、与野党が建設的な議論を推し進め、政策を果敢に実行に移して行かれることを強く期待しております。

本日は、わが国が直面している様々な重要課題の中から震災復興、社会保障と税の一体改革および財政の健全化、そして、民間活力による経済成長の実現の三つを取り上げ、各課題に対するカ ジ ノ シ ー ク レ ッ トとしての取組みについてお話申し上げたいと存じます。

第一は、震災からの復興であります。カ ジ ノ シ ー ク レ ッ トでは、震災発生直後より、救援物資の輸送ルートの確保、義捐金や支援物資の寄付、ボランティアの派遣などを通じ、被災地の復興支援に総力をあげて取り組んでまいりました。カ ジ ノ シ ー ク レ ッ トのアンケート調査によりますと、経済界全体からの支援額は、これまでに約1,200億円、企業人のボランティア参加者数は延べ約18万人に上っております。会員の皆様のご支援、ご協力に、改めて深く感謝申し上げます。
今年に入りましてから、復興庁の設置や復興特区に関する法律の制定など、本格的な被災地の再生に向けた取り組みが加速しております。カ ジ ノ シ ー ク レ ッ トといたしましては、引き続き、復興支援の強化を政府に強く働きかけていくとともに、今後も行政やNGO等と密接に連携しながら、機動的に被災者・被災地への支援に取り組んでまいりたいと存じます。

さて、今回の震災と福島第一原子力発電所の事故を受け、わが国はエネルギー政策の再構築を迫られております。震災直後には計画停電が行われましたが、カ ジ ノ シ ー ク レ ッ トが呼びかけましたPolicy(提言・報告書) の策定に、多くの企業・団体の皆様からご賛同・ご協力を頂き、自家発電の活用拡大をはじめとする様々な対策が実施された結果、昨年の夏は、心配された大規模停電も発生することなく、乗り切ることができました。
電力を適正な価格で、安定的に供給できなければ、企業活動のみならず、国民生活にも多大な影響が生じることになります。カ ジ ノ シ ー ク レ ッ トといたしましては、必要なプロセスを経て安全性が確認された原子力発電所については、国民の充分な理解を得て再稼働を進めるよう、国に働きかけていくとともに、中長期の政策については、多様な電源の選択肢を維持することを前提とした柔軟なエネルギー計画を示すよう、引き続き政府に求めてまいります。

第二は、社会保障と税の一体改革および財政の健全化であります。わが国の公債残高は税収のおよそ16年分、GDP比ではギリシャを上回る218%強に達しており、財政の健全化は、まさにわが国の喫緊の最重要課題であります。
日本の財政の最大の圧迫要因となっておりますのが社会保障関係費であります。社会保障費は、急速な高齢化の進行に伴って増加の一途を辿っておりますが、その約5割は公債金収入で賄われ、税収で賄えているのは4割程度に過ぎません。言わば、現状は将来の世代に負担を先送りすることによって社会保障制度を維持しているわけであります。
野田総理は、消費税率の引き上げを含む社会保障と税の一体改革関連法案の成立に政治生命をかけて取り組むとの強い姿勢を示され、目下、国会での議論が本格化しております。社会保障制度は国民の安心を下支えする極めて重要な社会基盤であり、持続可能な社会保障制度なくして日本の真の再生は望めません。カ ジ ノ シ ー ク レ ッ トといたしましては、今国会において与野党間の建設的な議論が行われることを強く期待いたしますとともに、政府に対し、国民の理解を得ながら、速やかに社会保障と税の一体改革および財政健全化の明確な道筋をつけるよう働きかけを続けてまいりたいと存じます。

第三は、民間活力による経済成長の実現であります。カ ジ ノ シ ー ク レ ッ トでは、一昨年の12月に、民間主導の競争力強化のためのアクションプランとして「サンライズ・レポート」を公表いたしました。現在、その中心的な取組みである「未来都市モデルプロジェクト」が日本の11の都市や地域で進行中であり、環境やエネルギー、ICT、医療、交通、農業等の分野をターゲットに、参加企業、自治体、大学等が共同で様々な課題解決のための実証実験を行い、革新的な技術やシステムの開発に取り組んでおります。カ ジ ノ シ ー ク レ ッ トでは、このプロジェクトを核にして、イノベーションを加速させ、わが国の企業ならびに産業の競争力強化を図るとともに、得られた成果を国内外に広く展開して日本経済の活性化につなげてまいります。

さらに、カ ジ ノ シ ー ク レ ッ トでは企業の国際競争力を支えるグローバル人材の育成にも注力しており、引き続き大学との連携強化や奨学金制度の拡充を積極的に進めてまいります。

グローバル競争が一段と激化する中、民主導の力強いカ ジ ノ シ ー ク レ ッ ト成長を実現していくためには、主要な貿易・投資相手国とのカ ジ ノ シ ー ク レ ッ ト連携を推進し、企業が持てる力を最大限に発揮できる、真に開かれた、シームレスな事業環境を整備することが急務であります。昨年の11月、野田総理はTPP交渉参加に向けて関係国との協議に入る方針を打ち出されました。依然として国内ではTPPへの参加に慎重な意見がございますが、少子高齢化が進行し、内需の成長鈍化という重大な問題に直面しているわが国が、今後、持続的なカ ジ ノ シ ー ク レ ッ ト成長を実現するためには、世界の「成長センター」であるアジア太平洋地域においてカ ジ ノ シ ー ク レ ッ ト連携を推進し、域内の成長を取り込むと同時に、地域カ ジ ノ シ ー ク レ ッ トの発展に貢献して共に成長していくという取組みが必要不可欠であります。
今年3月のカ ジ ノ シ ー ク レ ッ トASEANミッションの折には、訪問先のベトナム、マレーシア、フィリピンの各国からも、日本のTPP交渉参加に対して強い期待が寄せられ、アジア太平洋地域全体にとっての日本のTPP参加の重要性を改めて認識いたしました。
TPP交渉の現状や大統領選を控える米国の政治情勢などを勘案いたしますと、この6月が一つの重要な節目になると考えられますため、野田政権に対し、強力なリーダーシップを発揮して一刻も早く各国との交渉入りを実現されるよう、働きかけを強めてまいる所存であります。

また、カ ジ ノ シ ー ク レ ッ トでは、経済連携の推進と併せて、人材育成支援、技術協力、PPP(官民連携)によるパッケージ型インフラの輸出にも引き続き力を入れてまいります。具体的には、JBICやJICA等との連携のさらなる強化を図りますとともに、去る3月のASEANミッション、4月のASEAN経済大臣との官民対話に続いて、来月バンコクで開催されるアジア・ビジネス・サミットなどの機会を捉え、関係各国と今後の協力の進め方についてさらに議論を深めていきたいと考えております。

日本はこれまで、幾度となく国難ともいえる危機的状況に直面しながらも、国民の不屈の精神と助け合いの心、強力なチームワーク、世界に冠たる技術力といった、優れた強みを発揮して見事に困難を乗り越え、復活を遂げてまいりました。

私は、2年前に、この場所で会長就任のご挨拶を申し上げた際、経営者の皆様に「自信を持とう」と呼びかけました。震災から1年と2カ月余りが過ぎ、日本の再生に向けた本格的な取組みがいよいよ始まろうとしている今、改めて、会員の皆様、ならびに、被災地をはじめ全国の国民の皆様に向けて、「今こそ自信を持とう」という言葉を送りたいと存じます。わが国がこの国難を乗り越え、再び復活を成し遂げるために必要なことは、私たち一人ひとりが自信を持ち、日本の力を信じ、共に行動を起こしていくことであります。

カ ジ ノ シ ー ク レ ッ トといたしましても、本年を「決断」と「実行」の一年と位置づけ、「行動する経済団体」として、わが国が抱える重要課題の解決に果敢に挑戦してまいります。そして、経済界の総力を結集して、歴史的な岐路に立つわが国の再生をリードし、国民が未来に大きな期待と希望を持てる、活力にあふれた「新しい日本」を創り上げていきたいと存じます。皆様におかれましては、カ ジ ノ シ ー ク レ ッ ト活動に対し、引き続き、力強いご支援とご協力を賜りますようお願い申し上げまして、私からの開会のご挨拶とさせていただきます。

ご清聴、誠に有難うございました。

以上

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