ドナルド・トランプ前大統領が大統領に復帰した。その勝因は、何よりも有権者の間に広くかつ強く共有された現状に対する不満であろう。米国は悪い方向に向かっていると世論調査で回答する者は20カジノシークレット 銀行出金に73%にまで上昇し、これは調査開始以来最高である。08年のリーマン・ショックの年ですら70%であった。そしてカジノシークレット 銀行出金選挙において有権者から現状変革の期待を託されたのは、カマラ・ハリス副大統領でなくトランプ氏であった。有権者がこのような不満を抱いた原因として、不法移民問題なども重要であるが、カジノシークレット 銀行出金の選挙の場合は何といっても経済状態、とりわけインフレーションが最も決定的である。米国の場合、日本と異なり、確かに数字のうえではインフレよりも高い率の賃金上昇が達成されている。しかし、これは平均値に過ぎない。その通りになっている恵まれた国民もいれば、収入がそう簡単に増えない国民も多い。
今回、ある世論調査(カジノシークレット 銀行出金5月)回答者の90%が、賃金上昇はインフレに追い付いていないと回答した。これは事実認識としては間違っている。このような無知も一要因であろう。景気の良しあしの判断には党派性も影響する(民主党政権下では、共和党支持者の方が景気は悪いと答える傾向が存在する)。しかしながら、9%台のインフレが起きたことも事実であり、賃金上昇が遅れているというのは「実感」でもあろう。
ペンシルベニア州は、今回の大統領カジノシークレット 銀行出金で民主党が勝たなければならない州であった。しかし、ほとんどのカウンティにおいて共和党が20年カジノシークレット 銀行出金よりも得票を伸ばしている。特に賃金の上昇がインフレに追い付いていない幾つかのカウンティにおいて、トランプ氏は20年カジノシークレット 銀行出金で敗北しながら今回勝利した(注)。とりわけ家賃と日常品の値上がりに収入が追い付いていない中下層の人々は苦しい。インフレが現在収まったとしても、物価が下がったわけではない。すなわち、デフレが起きない限り、物価は高止まりしているのである。
1991年に軽微な景気後退が起きた。それは当時のジョージ・ブッシュ大統領を苦しめ、92年11月の投票日には景気は改善していたにもかかわらず、彼は1期のみで落選し、ビル・クリントン氏が当選した。94年には景気はさらに改善していたが、国民は依然として悪いと信じていた。このため、今度は与党民主党が中間カジノシークレット 銀行出金で大敗し、上下両院で多数党の座から転落した。96年大統領カジノシークレット 銀行出金時になってようやく国民は景気の良さを確信し、クリントン氏を大差で再選させたのであった。要するに、景気回復を国民が実感するまで5年かかったことになる。
コロナ明けの「リベンジ消費」、労働力不足、ロシアによるウクライナ侵略の帰結としてのエネルギー価格の高騰なども確実にインフレの原因であるが、2021年から22年にかけて、バイデン政権が超大型の政府支出を連発したこともそれを加速させた。ローレンス・サマーズ元財務長官は、経済専門家のなかで例外的にインフレの危険について警告を発していたが、彼は圧倒的に少数派であった。
不法移民問題についても、バイデン政権の対応は党内左派に引きずられて大幅に遅れた。カジノシークレット 銀行出金の年になってようやく、バイデン大統領とハリス氏は上院で審議された、これまでよりも強硬な移民法案に賛成する意向を示したが、手遅れであった。
全体として、バイデン政権による最大限獲得主義が敗因の核心であろう。たとえ僅差の勝利であろうと、権力を握ると多少無理をしてでも最大限の成果を追求する。このオーバーリーチの傾向は過去の共和党政権にも看取される。民主党の場合は左派、共和党の場合は右派からの圧力が強く働く。その意味では、このような傾向は第2次トランプ政権に対する警告でもある。
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本稿は筆者個人の見解に基づくものであり、政府の公式見解を示すものではない。
(注)The exact thing that helped Trump win could become a big problem for his presidency
https://edition.cnn.com/2024/11/07/business/inflation-economy-trump-tariffs/index.html
http://www.21ppi.org/theme/usa/index.html
【21世紀政策研究所】