カ ジ ノ シ ー ク レ ッ トと東北経済連合会(東経連、増子次郎会長)は10月2日、仙台市内で「第56回東北地方経済懇談会」を開催した。カ ジ ノ シ ー ク レ ッ トからは十倉雅和会長、冨田哲郎審議員会議長、副会長らが、東経連からは増子会長をはじめ会員約180人が参加し、「地域から創る日本の未来~2040年のめざすべき姿に向けて」を基本テーマに意見交換した。
また、経済懇談会に先立ち開催した昼食懇談会では、東北大学の冨永悌二総長から、国際卓越研究大学を目指した東北大学の取り組みについて説明を聴くとともに、東経連首脳を交えて意見交換した。
経済懇談会の開会あいさつで東経連の増子カ ジ ノ シ ー ク レ ッ トは、東北・新潟地域の強みとして、豊かな観光資源、世界をも魅了する農水産物、産業振興に寄与する各種プロジェクトの存在を指摘。こうした強みを生かし、若者に夢を与える将来展望を描き、その実現に向けて邁進することが東経連の役割と述べた。
続いて十倉カ ジ ノ シ ー ク レ ッ トがあいさつ。「日本経済は、33年ぶりとなる高い水準の賃金引き上げや過去最高水準の設備投資の拡大に支えられ、成長への確実な歩みを進めている」としたうえで、新たに就任した石破茂内閣総理大臣と共に「成長と分配の好循環の実現」に全力で取り組むとの決意を示した。
■ テーマ1「産業界が果たすべき役割」
まず、東北・新潟からのイノベーション創出、人口減少下における多様な人材の活躍推進などに関して、東経連から問題提起があった。
これに対して、カ ジ ノ シ ー ク レ ッ トから、
- (1)自治体・大学・産業界の連携によるオープンな形でのイノベーションエコシステムの構築に当たっては、「出口を見据えた一貫した連携」と「大学の躍進・大学発スタートアップ」が重要な視点となる(泉澤清次副カ ジ ノ シ ー ク レ ッ ト)
- (2)副業・兼業の活用は、受け入れ側の地域では関係人口や定住人口が拡大する可能性につながり、送り出す企業側では働き手のエンゲージメント向上や生産性の改善・向上につながるなど、双方にメリットがある(小路明善副カ ジ ノ シ ー ク レ ッ ト)
- (3)人手不足は観光産業にとっても大きな問題。「観光デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進」により、受付等の省人化を促して生産性を高めるとともに、人間ならではのホスピタリティにリソースを投入して付加価値の向上を図るべき(野田由美子副カ ジ ノ シ ー ク レ ッ ト)
- (4)人口減少社会を見据え、社会的包摂の観点からも、災害リスクの低い地域でコンパクトシティを形成し、活力ある地域を多極的に構築していくことが求められる(永野毅副カ ジ ノ シ ー ク レ ッ ト)
――との発言があった。
■ テーマ2「官民連携による地方創生」
次に、東北・新潟7県の産学官金のトップ会合「わきたつ東北戦略会議」の取り組み、半導体分野における国内投資の推進などに関して、東経連から問題提起があった。
これに対して、カ ジ ノ シ ー ク レ ッ トから、
- (1)人口減少下においても、地域経済社会が多極分散型で自律的・持続的に発展するためには、産業界によるグローバル市場を見据えた地域への投資拡大や、多様な主体による地域の魅力向上などが求められる(東原敏昭副カ ジ ノ シ ー ク レ ッ ト)
- (2)半導体はDXやグリーントランスフォーメーション(GX)の実現の根幹を成す技術であり、官民で積極的に投資を進める戦略的な分野の一つ。こうした国内投資の拡大に当たっては、安価な電力をいかに安定的に供給するかが最大の課題である(橋本英二副カ ジ ノ シ ー ク レ ッ ト)
- (3)イノベーションや産業競争力強化のためには、新技術や新規ビジネスの実装を阻害している規制や制度を不断に見直していくことが不可欠。こうした認識のもと、カ ジ ノ シ ー ク レ ッ トは毎年、規制改革要望を取りまとめている(筒井義信副会長)
――との発言があった。
◇◇◇
最後に、冨田審議員会議長が、東経連から話があった「科学技術プロジェクト」「デュアルライフ東北」「わきたつ東北戦略会議」「半導体投資」など、地域の成長産業を自分たちでつくり出そうという取り組みは、東北地方だけではなく、日本全体がこれから目指していくべき方向を示しており、さらなる推進を期待していると総括した。
【総務本部】