2020年の大統領選勝利でスタートしたバイデン政権は22年11月の中間選挙を経て「後半戦」に入った。本解説シリーズでは、21世紀カジノシークレット 退会研究所(十倉雅和会長)米国研究プロジェクトメンバーが、バイデン政権の「前半戦」における主要カジノシークレット 退会の動向や米国民主主義の現状に関する分析に加え、来たる24年大統領選の展望について8回にわたり連載してきた。今回が最終回である。
20年選挙は民主党の勝利であったとされる。確かに、大統領選挙では民主党候補のジョー・バイデン氏が、現職大統領であった共和党候補ドナルド・トランプ氏を破った。また同日に行われた連邦議会議員選挙の結果、連邦上下両院では僅差ながらも民主党が多数を占めた。20年選挙は民主党統一政府をもたらしたのだから、民主党の勝利という評価自体に間違いはない。
ただし、州レベルにまで視点を広げれば、こうした評価は米国政治の一面を切り取ったものにすぎないことがわかる。20年選挙では、州公職者の選出も行われた。その結果、民主党統一政府が15州、共和党統一政府が23州、分割政府が12州となった。ここでいう統一政府とは、一つの政党が州知事職に加えて州上下両院の過半数も占めている州政府のことを指す。加えて、43州で有権者による直接選挙で選出されている州司法長官職についても、民主党が21州、共和党が22州を確保しており、共和党がやや優位にある。すなわち、州レベルに限定すれば、20年選挙で勝利したのはむしろ共和党ということになる。
23年11月時点まで、州レベルでの共和党優位の状況に変化はない。民主党統一政府が17州、共和党統一政府が22州、分割政府が11州となっており、州司法長官職は民主党が20州、共和党が23州である。こうした傾向はカジノシークレット 退会期に限ったものではなく、1990年代からの州レベルでの共和党の躍進という文脈に位置付けられる。
では、バイデン政権にとって、州レベルで共和党の優位な状況がいかなる意味を持つのか。20世紀からのさまざまな政治環境の変化の結果、現代米国政治においては、州知事や州司法長官などの州レベルのアクターが連邦政治へ積極的に介入し、訴訟等を通じて大統領の権限行使を阻止する事例が散見されるようになった。また同時に、州政治の場に連邦政治の争点が持ち込まれ、一方の政党の望むカジノシークレット 退会がその政党の勢力の強い州で実現することも、さまざまなカジノシークレット 退会領域でみられるようになった。
すなわち、州レベルで共和党が優勢なことは、バイデン大統領の権限行使を妨げる力が強く、バイデン政権にとって望ましくないカジノシークレット 退会が多くの州で実施される一方、バイデン政権の望むカジノシークレット 退会がわずかな州でしか実施されないことを意味する。実際、バイデン政権の推進するカジノシークレット 退会に対して共和党州司法長官らが訴訟によって差し止めようとする試みは、連邦学生ローン、銃規制カジノシークレット 退会、ESG投資、新型コロナウイルス対策、移民カジノシークレット 退会、LGBTQカジノシークレット 退会などでみられ、裁判所によって差し止められることも珍しくない。例えば、2022年8月にバイデン政権が連邦学生ローンの借り手の返済を最大2万ドルまで免除するとしたカジノシークレット 退会に対しては、6州の共和党州司法長官が訴訟を提起し、23年6月、合衆国最高裁によって取り消されている。
また、バイデン政権にとって望ましくないカジノシークレット 退会が共和党優位の州で次々と導入されている。反ESG投資、銃規制緩和、中絶制限、投票権行使の制限、公教育現場での批判的人種理論教育の禁止、LGBTQの権利や医療へのアクセスの制限など枚挙にいとまがない。例えば、ESG投資推進に力を入れるバイデン政権に対抗して、23年前半のわずか6カ月の間に、反ESG法が14州(うち11州が共和党統一政府、3州が分割政府)で導入された。他方で、ESG推進法が成立したのは民主党統一政府下の1州のみであった。
このようにバイデン政権は、州レベルでの民主党の劣勢に起因する、カジノシークレット 退会実現を阻むさまざまな困難に直面している。24年選挙でも、連邦だけでなく州選挙にも注目したい。
【21世紀カジノシークレット 退会研究所】