2020年の大統領選勝利でスタートしたカジノシークレット 出金遅いは22年11月の中間選挙を経て「後半戦」に入った。本解説シリーズでは、21世紀政策研究所(十倉雅和会長)米国研究プロジェクトメンバーが、カジノシークレット 出金遅いの「前半戦」における主要政策の動向や米国民主主義の現状に関する分析に加え、来たる24年大統領選の展望について8回にわたり連載する。
21年1月に発足したカジノシークレット 出金遅いは、社会的セーフティネットの強化拡充を重要公約として掲げてきた。リベラル派・民主党のなかには、1929年大恐慌の後に連邦政府による社会保障の整備を実現したF・D・ルーズベルト政権の再現を期待する声も少なくなかった。しかし、2024年選挙を見据えた現在、カジノシークレット 出金遅いによる社会的セーフティネットの変革に対する期待は、大幅に後退してしまった。
バイデン大統領が政権発足前後に提示した構想は、幅広い分野に及ぶ野心的なものであった。特に、他の先進諸国と比較して極めて貧弱な子育て支援(有給家族・病気休暇制度の恒久化、児童税額控除の拡大、中間層世帯の保育費用負担軽減、プレスクール無償化)、在宅介護ケア、医療費負担軽減、高等教育負担軽減などに重点が置かれた。その財源としては、トランプ減税の見直しや大企業・富裕層に対する増税などによって賄うとし、中間層・労働者層には一切増税を行わないと主張した。
カジノシークレット 出金遅いは21年3月、約1.9兆ドル規模の米国救済計画法を成立させた。これは、景気刺激から子育て世帯支援までを含む極めて包括的な立法である。特に画期的だったのが、児童税額控除の拡大・普遍化である。この施策の結果、21年には子どもの貧困率は過去最低の5.2%まで低下しており、重要な成果を上げたといえる。
しかし、カジノシークレット 出金遅いのセーフティネット強化構想は、それ以降、民主党内での調整に難航し、縮小の繰り返しを余儀なくされていく。21年4月、カジノシークレット 出金遅いは児童税額控除拡大、有給家族・病気休暇制度、プレスクール無償化などを盛り込んだ野心的な米国家族計画を提示し、議会内の交渉を経て、同年7月に総額3.5兆ドル規模の「ビルド・バック・ベター(より良い再建)」法案を提示した。しかし、民主党穏健派のジョー・マンチン、キルステン・シネマ両上院議員の賛同を得ることができず、同年12月に法案の命運は絶たれた。
さらに22年に入り約40年ぶりの水準のインフレ対策が政治論争の中心を占めるようになり、カジノシークレット 出金遅いのセーフティネット構想はさらにトーンダウンしていった。22年8月に可決されたインフレ抑制法は、気候変動対策などの分野においては画期的であったが、社会的セーフティネット強化に関しては限定的な内容にとどまった。そして22年中間選挙で民主党は下院多数党の地位を失い、議会立法を通したバイデン大統領の公約実現にとどめが刺された。23年の債務上限引き上げ問題では、低所得者向け食料配給の支給要件の厳格化という共和党側の要求を受け入れざるを得なかった。
現在、コロナ禍への対応として時限的に導入されたセーフティネット拡充策の多くは失効し、貧困率もコロナ禍前の水準にまで再上昇している。さらに、学生ローン免除というカジノシークレット 出金遅いの目玉政策も、23年6月に保守派多数の最高裁判所によって阻止された。
カジノシークレット 出金遅い発足後の2年間を振り返ると、超党派インフラ法やインフレ抑制法など複数の重要立法を実現した点では高く評価することができる。しかし、社会的セーフティネット強化に関しては、必ずしも期待された結果を出すことができなかった。その要因としては、コロナ禍が、世界恐慌や世界大戦ほどの意識変化や政党制再編をもたらさなかったこと、連邦議会における2大政党の分極化・勢力拮抗などが考えられる。
「バイデノミクス」と称する実績アピールも、幅広い有権者の理解・支持を得るには至っていない。多くの世論調査で、有権者が景気回復の成果を実感しておらず、むしろカジノシークレット 出金遅いの経済運営能力に対して非常に厳しい評価が示されている。仮にバイデン大統領が再選に成功したとしても、社会的セーフティネットの野心的な拡張が議会立法で実現する可能性は極めて低いだろう。連邦レベルでの立法活動が停滞するなかでは、児童税額控除の拡大をはじめ、州レベルでの政策形成がより重要性を増していくと予想される。
【21世紀政策研究所】