経団連は1月12日、地域的な包括的経済連携(RCEP)協定に関する会合を開催した。亜細亜大学国際関係学部の久野新教授から、aカジノシークレットについて説明を聴くとともに質疑応答を行った。概要は次のとおり。
■ RCEP協定発効は日本にとって大きなメリット
RCEP協定発効以前の日中韓3カ国間の貿易総額は6200億ドルに上り、その47.5%の3000億ドルが課税対象となっていた。日本から中国、韓国への輸出に対する課税割合が高く、関税支払い額も日本が最も大きい。中韓の間では2015年末にFTAが発効した。しかし、日中韓の間では、12年11月にFTA交渉が開始されたものの、19年11月を最後に交渉が途絶えている状況である。
日中韓がそろって参加するaカジノシークレットり、日本から中国、韓国に向けた多くの輸出品において、関税面での不利益が解消される。また、国連貿易開発会議(UNCTAD)の調査によれば、協定発効により見込まれる域内の輸出増加約200億ドルの約半分が日本によって実現される。日本は、aカジノシークレットって最も多くのメリットを享受する見込みである。
■ 漸進的な貿易自由化と複雑な関税構造
RCEP協定の物品貿易章では、関税の撤廃が原則とされず、同章の第二・四条で「関税の引き下げ又は撤廃」と明記されるなど、「漸進的な自由化」を目指すものとなっている。
そのうえで、全締約国が一律に関税を引き下げる「域内無差別原則」は採用されていない。相手国に応じて異なる税率・自由化速度を約束する「国別譲許方式」を採用する国が日中韓を含め7カ国、全域内国に対して同じ税率・自由化速度を約束する「共通譲許方式」を採用する国が8カ国となっている。こうした柔軟性を許容したことでRCEP交渉は妥結に至ったが、その代償として域内で税率格差が生ずるなど、協定の利便性は一部損なわれることとなった。
また、一部の国が国別譲許方式を採用した結果、域内迂回貿易を防止するための税率差ルールが採用されている。すなわち、域内で税率の低い国を経由して輸出されることを防ぐため、生産工程が「軽微な工程」であってはならないとするなどのルールが規定された。日本は2802品目を税率差ルールの対象としており、関税の構造が複雑になっている。
■ 日中韓の貿易自由化の進展と課題
RCEP協定全締約国の平均関税撤廃率は91%であり、特に、日中韓とCLMV諸国(カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム)の関税撤廃率が低い。日本の関税撤廃率は品目ベースで対中国は85.5%、対韓国は80.7%、その他の国に対しては87.8%となっており、TPPの関税撤廃率95.1%と比べると保守的である。しかし、これは主に農林水産品の自由化水準の低さに起因するものであり、工業製品の自由化水準は高く、域内の国際分業のさらなる進展が期待される。
日中韓は地理的に近接し、それぞれの市場規模を考えると、今後も3カ国貿易の重要性は低下しない。現在、経済安全保障の議論が盛んであるが、貿易による経済的実利との関係をしっかり整理したうえで、自由化を進めていくことが重要である。
【国際協力本部】