経団連のイノベーション委員会(畑中好彦委員長、田中孝司委員長)は12月23日、オンラインで会合を開催した。デジタル庁の矢作尚久デジタルヘルス統括から、「デジタル庁のカジノ シークレット 勝て ない」をテーマに説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。
■ カジノ シークレット 勝て ない
デジタルインフラは、官民で共創し、新たな文化を醸成することで豊かな人生の選択肢を増やすものである。価値あるデータを使える状態にし、医療の質の向上に資するデジタルインフラを整備することによって、患者と医師が治療に専念できる環境の提供を目指している。現在、わが国の個人の健康にかかわるデータは、国、自治体、医療機関、介護事業者、民間の健康関連事業者等、多様なステークホルダーに分散して蓄積されており、十分な連携がなされていない。個人が自身の健康に関する情報を閲覧または管理、提供できる仕組みも整っていない。
一人ひとりの個人のデータは、個人の意思を尊重し制御され、同意を前提に活用できる環境の整備が求められている。それにより、本人の健康意識を高め、健康維持に向けた行動変容が促進される。事業者による健康・医療・介護分野での事業開発を喚起し、行政の各種業務の効率化と高度化も期待できる。デジタル庁では、システムアーキテクチャ、セキュリティ等のデジタル技術、法令や規律、わが国の大きな政策の方向性等の観点から、このようなデータ流通と制御を可能とする環境構築の取り組みを検討・検証し、関係各府省等との密接な連携に基づいて推進している。
■ 医療のナビゲーションシステムへの期待
デジタルヘルスアプリが急速に進化するなか、特に診療の意思決定プロセスの技術化による医療のナビゲーションシステムが注目されている。疾患特異的構造化データによる対話型問診や、検査・処置の予測表示などにより、外来診療の業務効率化とさらなる安心・安全につながると期待される。また、そこで蓄積される高度に構造化された時系列データの利活用こそ新たな医療サービス創造につながる。いわば医療のスマートグリッドが、デジタルヘルスによって実現できるといえる。その際、新しい社会基盤に対応する保険システムの構築も視野に入れる必要があると考える。
■ 循環型のソーシャルビジネスモデルと人材
社会インフラである医療を世界を先導する日本型医療基盤として普及していくためには、技術・サービス・制度をオールジャパンで共創していく必要がある。デジタルの力で、ハイエンドな医療機器・医薬品等の開発をより高度化させるとともに、それらを一般化し、普及させていくこと、その両輪を回すことが求められる。人材育成も重要である。イノベーティブなテクノロジーを正しく理解し、ストラテジックデザインを描ける能力も持ち合わせた人材が、国・研究機関・企業の各所で強く連携し活躍することが望ましい。
【産業技術本部】