働き方改革は、「一億総活躍社会」という言葉の是非を問われたりしながらも、着々と進んでいました。そこに突如出現したのが、新型コロナウイルス感染症でした。そこからはご存じのとおり、この不気味なウイルスとの戦いが始まりました。そうしたなかで企業は、事業継続と感染拡大防止の両立に腐心しています。このため、企業において、テレワークやオンラインミーティング、脱ハンコ、飲み会に至るまで、期せずしてデジタル化が後押しをしたかたちで新しい生活や仕事の様式(ニューノーマル)への転換が急速に進みました。
いまや、働き方改革はテレワークシフトとともに推進され、コロナ禍が大きな契機となったことは否定できない事実でしょう。同時に、このニューノーマルの核になるのは、テレワークシフトを支えるデジタル活用であり、デジタル活用を力強く支えるのが、サイバーセキュリティなのです。
テレワークが一気に進んだことで、企業のテレワークを支える通信機器や従業員の自宅環境の守備範囲は拡大しており、実際に、そこを突く攻撃も急増しています。機密情報を奪い、それを「人質」にして金銭を要求するランサムウエアを前回紹介しました。ほかにも、巧妙に偽装した電子メールによる感染、取引先や海外の子会社など企業が包括的に管理しにくい経路からのみならず、従業員のリモートワーク環境から侵入する手口も増えています。このため、企業を取り巻くさまざまなサプライチェーンを通じた攻撃に意識をしなければならなくなっています。
もう一点。これまでの多くの企業におけるセキュリティの基本原則は、境界セキュリティといわれているものになります。例えると、企業の出入り口に門番をおいてチェックし、企業内部は社員カードを身につけていれば原則として自由な行動を許すという考え方です。その境界セキュリティがテレワークとクラウド活用の普及によって維持が難しくなっているのが現状です。
つまり、サプライチェーン攻撃の一般化とテレワークの普及によって、自社の情報セキュリティの再構築が求められるようになったのです。そこに手を付けずに、将来有望な事業推進のカギとなる企業とがっちり手を握り、強力にビジネスを推進したいと思っても、セキュリティが十分ではない企業とIT連携を行うことには慎重にならざるを得ません。また、海外に有力企業を見つけてM&Aを持ちかけたいと思っても、サイバーセキュリティがネックになりかねません。
一方で、もしライバル企業がサイバーセキュリティを環境変化にあわせて再構築し、有力企業の買収、業務提携をどんどん進めてしまったらどうでしょう。出遅れた企業の競争力低下は避けられません。実際に、ある日本の大手グローバル製薬企業は、M&A実施に備えて時代に即したIT基盤とセキュリティの導入をすでに完了しています。セキュリティを投資と考えている結果ではないかと推測します。
今は何よりも「ピンチであり、チャンスでもある」という言葉が、私たちの置かれた現状を端的に示しています。経団連の中西宏明会長は今後について、「産業も社会もかなり進化すると思う。産業のグローバル化とともに、レジリエンス(復元力)を確保する動きが広がる」と話しています。攻めに見合う守りを固め、粛々と前を目指した者が勝利するのでしょう。その時、カジノシークレット キャッシュバック率、「投資リスト」の一番上に、太字で書かれているのです。動くなら後回しにはできません。そこでまた、一句詠みます。
「機をとらえ 危機を忘れず 嬉々とやる」
(ラック・どらいつろう)