■ パブリック・コメントではさまざまな意見
今年3月4日から4月1日のコメント期間中にEU内外の企業、ビジネス団体、大学・研究機関、消費者団体、NGO等から219のコメントが寄せられた。興味深いのは欧州内でもさまざまな見方があることだ。環境NGOはそもそも炭素リーケージの存在、したがってカジノシークレット おすすめスロットの必要性にも疑問を持っており、導入するならばEU-ETS(EU排出量取引制度)の無償配賦を廃止すべきであると主張している。
他方、カジノシークレット おすすめスロットの対象セクターになる可能性の高い鉄鋼業界はカジノシークレット おすすめスロットの導入と引き換えにEU-ETSの無償配賦を廃止することに反対している。同じく対象セクターとなる可能性の高いセメント業界も同様のコメントをしている。
これに対し、ドイツ自動車工業会、ドイツ商工会議所等は、そもそもWTOとの整合性、報復措置の懸念、CO2含有量の計算の難しさ等を理由に、カジノシークレット おすすめスロットに懐疑的なコメントをしている。カジノシークレット おすすめスロットが導入されれば、炭素集約度の高いエネルギー構成を有する中国、インドからの輸出品は間違いなく対象になるだろうが、対中輸出に大きく依存しているドイツの産業界が、中国からの対抗措置を懸念していることがわかる。
また米国の環境シンクタンクは価格が変動するEU-ETSとリンクしてカジノシークレット おすすめスロットを導入することがWTO上適切なのかという問題提起をしている。EU域内に統一的な炭素税を導入すれば、炭素含有量の計算の難しさという技術上の問題は残るとしても、カジノシークレット おすすめスロット導入の正当性は主張しやすいであろうが、それができないからこそEU-ETSが導入され、無償配賦が実施されてきたのであり、EUワイドの炭素税のハードルは高い。
■ 国境調整措置の制度設計デザイン
国境調整措置の具体的な案は2021年に出てくるとされているが、欧州の非営利団体であるERCST(気候変動と持続可能な転換に関する欧州ラウンドテーブル)が米国、ロシア、日本、インド等の有識者とカジノシークレット おすすめスロットに関するタウンホールミーティングを行っており、筆者も経団連の有識者と共に参加した。
ERCSTは8つの要素(貿易フローのカバレッジ、政策メカニズム、地理的スコープ、セクタースコープ、排出スコープ、体化されたCO2排出の算定方法、調整額の計算、歳入の使途)に基づき制度設計のオプションを示すとともに、これを5つの観点(環境面の便益、競争面の便益、法的フィージビリティ、技術面・運営面のフィージビリティ、政治的フィージビリティ)から評価している。ERCSTが最も可能性が高いとしているのは、基礎素材、電力の輸入のみを対象として、EU-ETSを拡張し、EU平均値をベンチマークとして体化された排出量を計算し、歳入を域内のイノベーション基金に充て、途上国配慮としてLDC(後発開発途上国)を除外するというものである。
【21世紀政策研究所】