経団連は2月23日、都内で経済法規委員会コーポレート・ガバナンス部会(内田章部会長)を開催し、金融庁の古澤知之総務企画局審議官、田原泰雅企業開示課長から、aカジノシークレットについて聞き、意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。
コーポレート・ガバナンス改革については、スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードの策定以来一定の進捗がみられる一方、企業の経営陣によるより果断な経営判断が求められている等の指摘や投資家と企業との対話の内容が依然として形式的なものにとどまっているといった指摘がある。
これを踏まえ、金融庁、東京証券取引所が事務局を務める「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」では、昨年10月以降、コーポレート・ガバナンスの状況について検討を行っている。
昨年12月の「新しい政策パッケージ」において、今年6月までに投資家と企業との対話のためのガイダンスを策定するとともに、必要なコーポレートガバナンス・コードの見直しを行うとされた。そこで、企業による次の5つの取り組みを促すための「ガイドライン」を策定し、必要なコーポレートガバナンス・コードの見直しを行うべく、議論を行っている。
- (1)経営環境の変化に応じた果断な経営判断
- (2)戦略的・計画的な設備投資、研究開発投資、人材投資等
- (3)CEOの選解任・取締役会の機能発揮等
- (4)政策保有株式の縮減に関する方針の明確化等
- (5)企業年金のアセットオーナーとして期待される機能の発揮及び母体企業による支援
各項目についての同会議における議論の状況は次のとおり。
(1)に関して、近年企業における取り組みに進展がみられるものの、企業が資本コストを上回るリターンを上げられていないと認識している投資家が依然少なくなく、さらなる事業の選択と集中に期待する声もある。
(2)に関して、多数の企業では手元資金の適切な水準についての基準を設けている一方、特段基準を設けていない企業も少なくなく、また水準の妥当性についての企業による説明が不足していると多くの投資家は認識しているとの指摘もある。
(3)に関して、JPX日経400においては、任意・法定あわせて57%もの企業が指名委員会を設置しており、指名委員会の設置が相当程度広がってきている。しかし、選解任基準や後継者計画については取り組みが進んでいないとの指摘もある。
(4)に関して、コーポレートガバナンス・コード導入以来、メガバンク等において政策保有株式の縮減に向けた動きが進んでいる。事業法人等においても動きはみられるが、そのスピードはやや遅いとの指摘もある。投資家は漠然と保有している政策保有株式を問題視しており、政策保有株主との取引条件の公正性にも懸念を抱いている。
(5)に関して、アセットオーナーによる運用機関に対するモニタリング等の重要性が指摘されているところ、足もとで一部の大手企業年金基金がスチュワードシップ・コードを受け入れるなどの動きはみられるものの、企業年金におけるスチュワードシップ活動への関心は総じて低く、必ずしも十分に取り組みが進んでいないとの指摘もある。
【経済基盤本部】