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Action(活動) 週刊 aカジノシークレットタイムス 2017年5月18日 No.3315 第21回「aカジノシークレット Power UP カレッジ」 -「バブル期から今日に至るまで」/住友生命保険の佐藤義雄会長が講演

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■ バブル期から今日に至るまで

日本は戦後の復興期から高度成長期を経て、その後のバブル崩壊までの間、ほぼ一貫して経済規模を拡大させてきたが、バブル崩壊以降「失われた20年」とも呼ばれる長い低迷期を経験することとなった。バブル崩壊は大規模な景気後退の起点であり、その後の停滞期を通じて多くの企業が影響を受けて今日に至っている。

当社においても、生命保険業界の戦後から一貫した右肩上がりの経験が楽観的見通しの土台となり、適切なリスク管理体制構築が不十分ななかで業界内のシェア競争に突き進んでしまった遠因となっている。他社との競争に負けたくないというマインド自体は健全だが、当時の当社は的確な状況判断ができずに一方向に邁進した結果、大きな痛手を被ることとなった。「バスに乗り遅れるな」というスローガンはいつの時代もあり、一種の思考停止をもたらすものだが、こうしたことはいつの時代も、どの会社でも起こる可能性がある。

■ バブル後の後始末の教訓

バブル崩壊後、生保各社は資産価値の暴落や逆ザヤに苦しんだが、当社は特に膨大な額の不動産投融資の失敗による不良債権問題に苦しめられた。「将来的に不動産価格は持ち直す」といった甘い見通しから不良債権処理を躊躇する声も上がったが、結果的にその後不動産価格はさらに下落した。

当社は不良債権処理を迅速に決断することで、多くの金融機関が破綻するなか、何とか難局を乗り切ることができた。この失敗をターニングポイントとして、総合的なリスク管理体制の構築、リスク性資産の圧縮、固定コストの削減など健全な経営体制を高めるための各種施策を進めていった。私は当時、株式運用部門と法人部門の責任者として、当社の保有株式の圧縮に携わっていた。社内外を問わず反発は強く非常に難航したが、誠心誠意説明し続けたことにより、最終的には理解を得ることができた。

当社には、住友家家訓を基とした社訓である「経営の要旨」がある。そのなかでも「進取不屈の精神」が、当社が最も大切にしているアイデンティティーである。困難な局面もアイデアや創意工夫により、積極的にチャレンジして乗り越えるという意思を表したものであるが、バブル期の当社はこれを履き違え、生命保険業に求められる事業の堅実性を疎かにした結果、バブル崩壊以降の苦難を生んでしまった。高い経営安定性を確保したうえで、時代や社会の変化を冷静に見極め、当社が脈々と受け継いできたチャレンジ精神(=進取不屈の精神)をもって柔軟に対応していくことが重要である。

■ これからの経営

情報化の進展や顧客の保険選考スタイルの変化を受け、当社は従来の営業職員チャネルだけでなく、銀行窓販ネットワークや子会社であるメディケア生命を通じた保険ショップ向け商品の提供などマルチチャネル戦略を進めている。また、加入者の加入後の継続的な健康増進活動により保険料が変動する仕組みである「健康増進型保険」のサービス提供に向けた準備も進めており、社会の変化に対応するさまざまな施策を試みている。

バブルの後処理としてリスク削減に努めてきたが、社会が目まぐるしく変化するなか、リスク回避だけでは現状を維持することすら困難である。企業が存続して成長していくためには、常に新しい挑戦を行っていく必要があり、経営上こうした視点を忘れてはいけないと思っている。これまでの長い歴史のなかで培ってきたノウハウを堅持しつつ、社会の変化に柔軟に対応し積極的に挑戦し続ける「試行型」の経営が、これからの当社の目指すべき姿だと考えている。

■ 経営幹部に求められる姿勢

経営者として戒めとしていることが3つある。1つ目は、物事を進めるうえでは健全な懐疑心を持つこと。経営者として適度なブレーキ機能を備えていることが大事である。2つ目は、見たくない現実を前に、立ち止まるべき時は立ち止まり、現実を見定めること。そして3つ目は、見定めたあとには素早く行動に移すこと。行動し実際に取り組むことで、初めて進むべきか引くべきかの見極めができる。

また、「逆耳払心(ぎゃくじふっしん)」という中国古典の言葉を座右の銘としている。耳に逆らう、すなわち耳が痛い話もしっかり聞き、ともすれば心から払いのけてしまいたくなるような状態こそが、己を磨く「砥石」のごとき働きをしてくれるという意味であり、忠告や諫言にしっかり耳を傾けることが人の器量を磨くうえで大事なことである。社内の声、そしてお客さまや社会の声をしっかり聞いていくよう、常に心がけている。

※本稿は第21回「aカジノシークレット Power UP カレッジ」(3月21日)の講演を要約したものです。

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