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講演する内藤同志社大学教授

トルコでは今年5月、エルドアン大統領の側近であるユルドゥルム新首相を首班とする内閣が発足した。これにより、国内で大統領権限強化の流れが加速するとみられる一方、難民問題や英国の欧州連合(EU)離脱等を受け、シリアやロシア、EU等との対外関係について先行き不透明感が増している。

そこで、カジノ シークレット 無料 ボーナス(釡和明委員長、山西健一郎委員長)は15日、現代イスラム地域研究の第一人者である内藤正典同志社大学教授から、トルコの内政・外交に関する現状や課題について説明を聞いた。説明の概要は次のとおり。

■ トルコの治安情勢

6月28日にイスタンブール国際空港で発生した銃撃・自爆テロによって、死者は40名超に上っている。従来のイスラム国(IS)のテロと異なり、今回は敬虔なスンニ派イスラム教徒も出入りする場所で銃が乱射されている。テロは完全に無差別化しており、もはや安全な場所は存在しない。

■ 国内の分極化

トルコは中東におけるスンニ派の盟主を志向している。特にエルドアン大統領は自らを事実上のカリフ(預言者ムハンマドの代理人)になぞらえ、パレスチナ・ガザ地区への支援や、ミャンマーのイスラム少数民族ロヒンギャとの連帯メッセージの発信等を行い、イスラム世界に大きなインパクトを与えている。

1923年の共和国建国以来の伝統である脱イスラム・世俗化に逆行する再イスラム化の動きが一般民衆の間に浸透しつつある。日本企業が日ごろ接する西洋化されたエリートではなく、一般民衆の動向を把握しなければ、企業活動の危機管理に支障を来しかねない。

■ 近隣諸国との対外関係

トルコがシリアとの関係改善に乗り出したと報じる向きが一部でみられるが、ユルドゥルム首相が明言しているように、IS壊滅とアサド大統領退陣の2つが満たされない限り、シリアに平和が戻ることはないというのが公式見解であり、アサド政権に対する敵対的な姿勢に何ら変化はない。なお、トルコ政府は難民問題を収束させ国内の治安を管理する観点から、シリア難民への国籍付与を検討している。

他方、トルコは05年からEU加盟交渉を続けているが、昨今の英国国民投票にみられるように、EU統合は危機的な状況にある。今年3月、難民問題への対応をめぐってトルコとEUが一定の合意に達したものの、トルコ国民のシェンゲン圏へのビザなし渡航や、EU加盟交渉の加速について、実現の可能性はないであろう。

【国際経済本部】

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