鉄鋼業は低炭素社会実行計画において、カ ジ ノ シ ー ク レ ッ トさらなる向上を図るとともに、国内を製造・開発拠点として製造業との間の密接な産業連携を強化しながら、(1)エコプロセス(2)エコプロダクト(3)エコソリューション(4)革新的技術開発――の4本柱により、経済成長や雇用創出に貢献するとともに、地球温暖化対策に積極的に取り組んでいる。
(1)エコプロセス
1970年代の石油危機以降、鉄鋼業は製造工程の効率化や排熱・副生ガス回収等の省エネ対策を積極的に推進してきた。また、90年以降は自主行動計画において、小規模省エネ対策や操業改善等の地道な省エネ努力を重ねた結果、カ ジ ノ シ ー ク レ ッ ト効率が世界最高水準であることが第三者機関により示されている(図表1参照)。
低炭素社会実行計画フェーズⅠでは、2020年に、それぞれの生産量で想定されるCO2排出量から、最先端技術の最大限の導入によって500万トン-CO2削減するという目標を策定し、取り組みを行っている。また、フェーズⅡでは、2030年に、同様に900万トン-CO2削減することを目標(注1)とし、引き続き製造プロセスでのカ ジ ノ シ ー ク レ ッ ト向上を図っていくこととしている。
(2)エコプロダクト
鉄鋼業は低炭素社会の構築に不可欠な高機能鋼材の開発・供給を通じて、社会で最終製品として使用される段階におけるCO2削減に大きく貢献している。日本カ ジ ノ シ ー ク レ ッ ト経済研究所の試算によると、定量的に把握している代表的な鉄鋼製品5品種(自動車用鋼板、方向性電磁鋼板、船舶用厚板、ボイラー用鋼管、ステンレス鋼板)に限定した使用段階でのCO2削減効果は、2020年断面では国内外合計で約3450万トン-CO2、2030年断面では約4200万トン-CO2と推定される。鉄鋼業は引き続き新たな高機能鋼材の開発を進め、国内外への素材供給による抜本的なCO2削減に取り組んでいく(図表2参照)。
(3)エコソリューション
鉄鋼業は「日中鉄鋼業環境保全・省エネ先進技術交流会」「カ ジ ノ シ ー ク レ ッ ト効率に関するグローバルパートナーシップ(GSEP)」「日印鉄鋼官民協力会合」等における活動を通じ、日本の優れた省エネ技術・設備の世界への移転・普及に寄与している。主要省エネ技術による世界全体の削減ポテンシャルや現状の日系企業の能力等を勘案すると、2020年の日本の貢献は年7千万トン-CO2、2030年は8千万トン-CO2と推定される。
(4)革新的技術開発 (注2)
COURSE50(革新的製鉄プロセスの開発)では、水素による鉄鉱石の還元と高炉ガスからのCO2分離回収により、生産工程におけるCO2排出量の約3割削減を目指している。フェロコークス(革新的製銑プロセスの開発)では、高炉炉内還元反応の高速化・低温化機能を発揮するフェロコークスおよびその操業プロセスを開発し、製銑プロセスの省カ ジ ノ シ ー ク レ ッ トと低品位原料利用拡大の両立を目指している。
◇◇◇
鉄鋼業は地球規模での温暖化対策を推進するため、自主的な省エネ努力に加え、自ら開発・実用化した環境・省エネ技術や使用段階で大幅な排出削減に貢献するさまざまな製品の世界移転・普及を通じて、地球規模での排出削減に貢献していく。
(注1)目標のうち廃プラスチック等の利用拡大については、政府等による集荷システムの確立を前提とする
(注2)革新的技術の導入に際しては、(1)2030年断面において技術が確立すること(2)導入に際して経済合理性が確保されること(3)国際的なイコールフッティングが確保されること――を前提条件とする。また、COURSE50については、国主導によりCCS(二酸化炭素回収・貯留)を行う際の貯留地の選定・確保等を含めた社会的インフラが整備されていることも前提条件とする
(日本鉄鋼連盟)
【環境本部】